
バルセロナなどで17日に起きた一連のテロ事件について、スペインの捜査当局は徐々にテロの全貌を明らかにしています。21日には、最後の逃走者でバルセロナのランブラス通りを車で暴走し、13人を死亡させたユネス・アブーヤアクーブ容疑者(22)が、バルセロナ近郊スビラッツで警察に射殺されたことを当局が明らかにしました。
武装した同容疑者は偽の自爆ベルトを着用し、射殺される前、イスラム過激派のテロリストの常套句である「アラーアクバル(アラビア語で神は偉大なりの意)」と叫んだと言います。一時はフランスに逃げ込んだ可能性も指摘されていました。
結果的に15人の犠牲者を出した今回の一連のテロ事件の全貌は、テロを実行した地元のモロッコ系の若者の背後に彼らを煽動したイスラム教導師イマーム(導師)でモロッコ人のアブデルバキ・エ・サティ容疑者(45)がいたことでした。
同容疑者は、バルセロナのテロの前日、バルセロナから約200キロ離れたアルカナルで起きた民家が全壊する爆発で死亡したと見られ、アルカナルの民家では、120本のガスボンベや、過激派組織イスラム国(IS )がよく使用する爆薬の過酸化アセトン(TATP)の痕跡が見つかっています。
当局はサティ容疑者が主導するグループが、バルセロナのサグダラ・ファミリア教会などで大規模な爆発テロを計画し、民家で爆発物の準備を進めている最中、何らかのミスで爆発事故が起き、急遽バルセロナの繁華街などで、車で群衆に突入させるテロに切り換えたとの見方を強めています。
主犯格と見られるサティ容疑者は、過去に薬物絡みの罪で2012年まで4年間の服役経験があり、服役中に刑務所内で、2004年に191人が犠牲となったマドリード列車同時爆破テロを起こしたモロッコ人のイスラム過激派メンバーと接触し、聖戦思想に感化された可能性があると見られている。
今回のテロで死亡または逮捕されたテロ実行犯の若者の多くは、バルセロナの北100キロのリポル出身で、当地のモスクでイマームだったサティ容疑者によって、子供たちが聖戦思想に洗脳されたと口々に語っています。また、服役の過去を持つ男がイマームになっていたことに「まったく理解できない」と怒りを表している。
フィンランド南西部の都市トゥルクでも19日、2人が犠牲になる襲撃テロ事件が発生しており、容疑者がスペインのテロ容疑者と似た18歳のモロッコ人でした。彼はフィンランドに難民申請をしていた人物でした。
興味深いのはヨーロッパで起きるテロの実行犯の年齢が若く、当局の監視リストにも掲載されておらず、2、3年前に聖戦主義に傾倒し、豹変した者が多いということです。つまり、差別や貧困で将来が見えない不安定な未成年の移民系の若者を聖戦思想で洗脳し、戦士に育てテロを実行させているということです。
昨年、フランス北西部ルーアン近郊で起きたカトリック教会の司祭殺害テロでは、数日前にネットで知り合った若者が実行犯でした。今回のテロのように元イマームの指導者がいるケースもありますが、一人か数人でテロを計画、実行する場合が多くなっています。
つまり、イスラム過激派は世界に存在する人生に苦戦する若者を、いつでもどこでもテロリストとして利用し、テロを実行できる体制が整っているという話です。
大抵、テロリストに変貌するのは問題意識がなく、イスラム教の知識もない若者で、親たちが変貌に気づいた時は手遅れという場合も多いといいます。
聖戦思想の拡散手段は、まずネットです。フランスのテロリスト・リクルーターの一人は、SNSをうまく利用し、ラップのBGMが流れる軽いノリのサイトを運営し、未成年者を惹きつけていました。
さらに軽犯罪に走る若者の洗脳場所としては刑務所があり、テロ実行犯の多くは刑務所で過激思想に染まったことが確認されています。また、イスラム導師イマームが過激思想を植えつけるケースもあります。英国ではテロリストになった若者の多くが、イマームから影響を受けていたことが確認されています。
テロが頻発するフランスでは、1昨年からホットラインを開設し、過激思想の影響を受け、急変する親族などの通報を受け付けています。また、テレビでは家族が聖戦思想に染まっていく過程を描いたドラマも放映されています。
イスラム過激派は手を変え品を変え、テロリストを調達し続けています。差別や貧困に苦しむ若者が世界から消えないかぎり、テロの標的の身近で、しかも当局が把握できていないテロリストを簡単に調達でき、実行できる状況は今後も続きそうです。
背景には急ぎすぎたグローバル化、宗教を排除するリベラル社会への急激な変貌の中、巨額の利益を得た若いビジネスマンの話ばかりが注目され、それについていけない、あるいは賛同できない人たちに聖戦思想がすり寄っているように見えます。
英国のEU離脱やアメリカ、フランスの大統領選挙でわれわれが見たものは、加速しブレーキが効かなくなったグローバリゼーションがもたらした歪みでした。それがテロの温床にもなっているように見えます。
今回のテロで死亡または逮捕されたテロ実行犯の若者の多くは、バルセロナの北100キロのリポル出身で、当地のモスクでイマームだったサティ容疑者によって、子供たちが聖戦思想に洗脳されたと口々に語っています。また、服役の過去を持つ男がイマームになっていたことに「まったく理解できない」と怒りを表している。
フィンランド南西部の都市トゥルクでも19日、2人が犠牲になる襲撃テロ事件が発生しており、容疑者がスペインのテロ容疑者と似た18歳のモロッコ人でした。彼はフィンランドに難民申請をしていた人物でした。
興味深いのはヨーロッパで起きるテロの実行犯の年齢が若く、当局の監視リストにも掲載されておらず、2、3年前に聖戦主義に傾倒し、豹変した者が多いということです。つまり、差別や貧困で将来が見えない不安定な未成年の移民系の若者を聖戦思想で洗脳し、戦士に育てテロを実行させているということです。
昨年、フランス北西部ルーアン近郊で起きたカトリック教会の司祭殺害テロでは、数日前にネットで知り合った若者が実行犯でした。今回のテロのように元イマームの指導者がいるケースもありますが、一人か数人でテロを計画、実行する場合が多くなっています。
つまり、イスラム過激派は世界に存在する人生に苦戦する若者を、いつでもどこでもテロリストとして利用し、テロを実行できる体制が整っているという話です。
大抵、テロリストに変貌するのは問題意識がなく、イスラム教の知識もない若者で、親たちが変貌に気づいた時は手遅れという場合も多いといいます。
聖戦思想の拡散手段は、まずネットです。フランスのテロリスト・リクルーターの一人は、SNSをうまく利用し、ラップのBGMが流れる軽いノリのサイトを運営し、未成年者を惹きつけていました。
さらに軽犯罪に走る若者の洗脳場所としては刑務所があり、テロ実行犯の多くは刑務所で過激思想に染まったことが確認されています。また、イスラム導師イマームが過激思想を植えつけるケースもあります。英国ではテロリストになった若者の多くが、イマームから影響を受けていたことが確認されています。
テロが頻発するフランスでは、1昨年からホットラインを開設し、過激思想の影響を受け、急変する親族などの通報を受け付けています。また、テレビでは家族が聖戦思想に染まっていく過程を描いたドラマも放映されています。
イスラム過激派は手を変え品を変え、テロリストを調達し続けています。差別や貧困に苦しむ若者が世界から消えないかぎり、テロの標的の身近で、しかも当局が把握できていないテロリストを簡単に調達でき、実行できる状況は今後も続きそうです。
背景には急ぎすぎたグローバル化、宗教を排除するリベラル社会への急激な変貌の中、巨額の利益を得た若いビジネスマンの話ばかりが注目され、それについていけない、あるいは賛同できない人たちに聖戦思想がすり寄っているように見えます。
英国のEU離脱やアメリカ、フランスの大統領選挙でわれわれが見たものは、加速しブレーキが効かなくなったグローバリゼーションがもたらした歪みでした。それがテロの温床にもなっているように見えます。