北朝鮮が29日に発射した「火星12」は、日本の頭上を通り越して太平洋に落下し、韓国国防相は、中距離弾道ミサイル(IRBM)を通常角度で、約2分の1の射程距離で発射実験したとする分析を発表しました。
北朝鮮は今年に入り、13回にわたり弾道ミサイルや短距離飛翔体を計18発発射しました。北の傀儡政権ができたとまで言われる文在寅政権発足後でも、弾道ミサイル発射は7回に上り、気の狂ったような態度は文在寅大統領を当惑させているようにも見えます。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、核を搭載できる長距離弾道ミサイルを実践配備できるレベルにするまで実験を繰り返すのは必至で、そのために核実験を実施する機会を伺っているところでしょう。核開発を止める気のない金正恩の扱いをめぐって、アメリカも手をこまねいている状況です。
そもそも北と南に38度線で分断された朝鮮半島は、一つの民族であり、一つの文化を共有する国です。冷戦崩壊のきっかけを作った東西ドイツの統一もインドシナ戦争終結で統一された南部ベトナムも、大国のイデオロギー対立で分断を余儀なくされた国が自国の努力で国を取り戻した形です。
それもベトナムに至っては、最貧国に近い国でありながら、ロシア、中国の支援を得たとはいえ、超大国アメリカとの戦争を克服し、統一されました。無論、共産主義による統一ですから、その後、多くのボートピープルを生み出したわけですが。
では朝鮮半島はどうなのか。金正恩が思い描くのはベトナム同様、独裁国家の北朝鮮主導で朝鮮半島が統一され、彼が主権を握ることなのは明白です。しかし、よく見ると逆に韓国は、韓国主導の南北統一に対して、どこまで情熱を持っているのか極めて怪しい状況です。
ベルリンの壁が崩壊した1989年、崩壊の3カ月前に東ドイツを現地取材した私は、明らかに西ドイツとの根比べに東ドイツが負けた状態を目の当たりにしました。圧倒的な経済力と成熟した民主主義、自由主義陣営で信頼を獲得していた西ドイツに東ドイツ国民が屈した形です。
韓国も確かに経済的繁栄を手にし、韓国ドラマなどエンターテイメントを世界に輸出し、北との経済格差は非常に大きなものに見えます。無論、ドイツの場合は東西ともに、もともと高い文明国だったわけで、東ドイツでも世界的に有名な音楽家リストやハイテク技術で世界に知られていたこととは比較にならないものもあります。
朝鮮半島の分断では、アメリカと対峙する中国、ロシアとの緩衝地帯の必要性が指摘されますが、そんな状況に甘んじ続ける朝鮮の人々はどうなのでしょうか。実はすぐに過去の苦難の歴史を持ち出し、その苦労は誰も理解できないというのでしょうが、果たして同情する状況なのでしょうか。
結局、豊かになってしまった韓国は貧しい北と一つになって生活レベルを下げたくないと思い、北は何がなんでも南の財産を自分の手に収めるため統一したいともくろんでいるという現実があるのではないでしょうか。ここがドイツやベトナムとは違うところです。
つまり、朝鮮半島に住む人は、いつも人のせいにばかりして、自力で問題解決しようという努力が見受けられません。特に韓国側からは南北統一の情熱が感じられません。これは国際社会の問題ではなく、朝鮮半島に住む人々自身の問題ではないでしょうか。
金正恩は、南北統一を最も阻むアメリカと日本を目の敵していますが、アメリカや日本の後ろ楯にばかり頼り、そのくせ、米韓、日韓関係を良好に保つ努力もしているとは思えないのが韓国です。結局、分断国家を放置する結果を生んでいるのは韓国ではないかと思わざるを得ません。