22日に投票が行われた衆議院選挙は、マスコミの予想通り、自民党の大勝で幕を閉じました。小さなサプライズとしては、選挙直前に立ち上げた立憲民主党が第2政党に躍り出たことでしたが、希望の党以上に善戦していることは選挙期間中から報じられていたことです。

 昨今の先進国の国政選挙は、マスコミが予想を外すことが多く、昨年暮れのアメリカの大統領選挙では当初、泡沫候補と言われていたトランプ氏が勝利しました。今年5月に行われたフランスの大統領選挙でも当選したマクロン氏は半年前には第2回投票に残ることは難しいと言われていました。
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 6月の英国の総選挙では、予想に反し労働党が善戦し、ブレグジットのための政権基盤強化を狙ったメイ首相の保守党は議席を伸ばせませんでした。唯一、マスコミの予想通りドイツで与党・キリスト教民主同盟(CDU)が勝った反面、議席を減らし、極右政党「ドイツのための選択肢」が大幅に議席を増やしたことは予想されていませんでした。

 世界の国政選挙に次々に起きている現象は、急速なグローバル化で拡がった貧富の差への不満から保護主義、反EU、反移民などの政策を掲げるポピュリズム政党が予想以上に台頭したことでした。保守VSリベラルの政治イデオロギーの構図よりも自国民の利益を優先する政党が予想を超えて支持を集めているということです。

 しかし、日本の場合は改憲をめざす安倍政権の存続に中韓が警戒感を露にしてはいますが、選挙の結果に大きなサプライズはありませんでした。それに北朝鮮の脅威に晒される中、有事の際に、かつての民主党政権のようなもたつきがあっては困るし、良好な日米関係を維持する安倍政権への安心感が働いたのでしょうが、それも折り込み済みです。

 確かに希望の党の出現で、議席こそ立憲民主党に及ばなかったかもしれませんが、野党の政界再編の役には立ったようにも見えます。党内で政治信条がま逆だった民進党は希望の党の小池代表に踏み絵を踏まされ、結果的に中道左派候補者は立憲民主党に集まりました。

 しかし、小池氏がもくろむ新しい政治をもたらすのは安倍政権打倒というよりは自民解体だったと思います。今、世界の先進国では政治は中道化が進み、その外に極右と極左がいる構図です。翻って日本は、自民党は名前の通り、リベラルと保守が同居した不思議な政党で、唯一はっきりしているのはアメリカへの追随ということです。

 たとえば、フランスでは2002年に右派とか中道右派と言われたドゴール主義の共和党が再編され、中道右派の国民運動連合が結成され、2015年には共和党に改名されました。国内外の政治状況に合わせ、政党は政治信条を再検討し、時代に合った政党づくりをするというスタンスです。

 その意味では、日本は野党の側は、様々な政党が立ち上がっては消えていますが、自民党は変わっていません。唯一一つの宗教や政治イデオロギーを持つ公明党と共産党が政党を維持している程度です。それも政教分離の原則から見て疑問のある公明党、民主主義と相反するイデオロギーを持つ共産党が存在し続ける不思議も日本的と言えるかもしれません。

 つまり、時代を読み、時代に合った政党政治を行っていくための政界再編は本当の意味では日本では起きていないと言えます。変化の激しいグローバル化時代についていけない企業が苦戦するように、国家も変化に対応する必要があります。

 同時に自民党の長期政権について日本が成熟した民主主義国家なのかを疑う声も海外では聞かれます。中には民主主義を本当は理解していないという指摘もあります。日本の政治の中心に40年間いた高校の先輩の某氏は「政界再編を主導する大物政治家は今はいませんよ」と私に言ってきました。これは非常に残念で危うい話です。