英領ケイマン諸島
オフショア投資のスキャンダラスな資料「パナマ文書」に続き、またもや同種の新資料「パラダイス文書」が流出し、英エリザベス女王や米ロス商務長官の名前が含まれていることが報道されています。パナマ文書も相当なインパクトを与えましたが、それに次ぐ規模の新資料と指摘されています。
今回流出したパラダイス文書は、前回同様、南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を通じて世界100社近くの報道機関と情報を共有し、内容分析に当たっているところです。流出元の大半は、バミューダに本社を置く法律事務所アップルビーで、残りはカリブ海諸国を中心に19カ国・地域の登記簿だと言われています。
日米欧などの20カ国・地域(G20)は、この数年、租税回避問題でオフショア投資の規制強化に乗り出しており、パナマ文書流出後には、経済開発協力機構(OECD)がパナマに資料提出を促すなどして、租税回避をくい止める努力を続けています。
とはいえ、今回も世界の政治家や著名人が、オフショア企業を通じて巨額の税金を回避していたことを示す大量の文書が流出し、エリザベス女王も5億ポンドと言われる個人資産のうち約1,000万ポンドが、租税回避地の企業に投資されていたことが明らかになりました。
同問題の難しいところは、国を跨ぐことで、違法性を追求できないことにあり、エリザベス女王の場合も英領ケイマン諸島とバミューダのファンドに投資したお金が貧困層搾取で批判されている家電製品レンタルの英ブライトハウスや、巨額の税未払いで破綻した酒販売チェーンの英スレッシャーズに回っていたとされますが、女王が意図的に行った証拠はなく、違法性はないとしています。
たとえばフランスでは政府が租税回避のためにスイスなどに預金していた資産をスイス政府と協力して、徴収する法的措置を取り、慌てて富裕層の一部が納税したという経緯があります。しかし、オフショアの投資ファンドの場合は手口が複雑化しているだけに違法性の追求に困難が伴います。
かつては欧米各経済紙の広告蘭にオフショア投資の広告が山のように並び、友人の中にも租税回避地に国際ビジネスで得た利益を蓄え、上限なしで使えるクレジットカードを持っていました。
今回の資料の中には、米国のロス商務長官がケイマン諸島のオフショア企業を通じて海運会社に投資しており、その海運会社はプーチン露大統領の義理の息子が出資する露エネルギー会社の得意先だったことも明らかになっています。今後、調査に当たる各報道機関は随時、同文書の分析による新情報を開示する見通しです。
この問題は、国際的な規制の取り組みが必要ですが、モラルの問題でもあり、公人が納税義務を回避した場合には、より重い罰則も必要でしょう。しかし、法律や国際的協定を決める側の人間の中にオフショア利用者がいることを考えると簡単にはいかない話と言えます。
オフショア投資のスキャンダラスな資料「パナマ文書」に続き、またもや同種の新資料「パラダイス文書」が流出し、英エリザベス女王や米ロス商務長官の名前が含まれていることが報道されています。パナマ文書も相当なインパクトを与えましたが、それに次ぐ規模の新資料と指摘されています。
今回流出したパラダイス文書は、前回同様、南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を通じて世界100社近くの報道機関と情報を共有し、内容分析に当たっているところです。流出元の大半は、バミューダに本社を置く法律事務所アップルビーで、残りはカリブ海諸国を中心に19カ国・地域の登記簿だと言われています。
日米欧などの20カ国・地域(G20)は、この数年、租税回避問題でオフショア投資の規制強化に乗り出しており、パナマ文書流出後には、経済開発協力機構(OECD)がパナマに資料提出を促すなどして、租税回避をくい止める努力を続けています。
とはいえ、今回も世界の政治家や著名人が、オフショア企業を通じて巨額の税金を回避していたことを示す大量の文書が流出し、エリザベス女王も5億ポンドと言われる個人資産のうち約1,000万ポンドが、租税回避地の企業に投資されていたことが明らかになりました。
同問題の難しいところは、国を跨ぐことで、違法性を追求できないことにあり、エリザベス女王の場合も英領ケイマン諸島とバミューダのファンドに投資したお金が貧困層搾取で批判されている家電製品レンタルの英ブライトハウスや、巨額の税未払いで破綻した酒販売チェーンの英スレッシャーズに回っていたとされますが、女王が意図的に行った証拠はなく、違法性はないとしています。
たとえばフランスでは政府が租税回避のためにスイスなどに預金していた資産をスイス政府と協力して、徴収する法的措置を取り、慌てて富裕層の一部が納税したという経緯があります。しかし、オフショアの投資ファンドの場合は手口が複雑化しているだけに違法性の追求に困難が伴います。
かつては欧米各経済紙の広告蘭にオフショア投資の広告が山のように並び、友人の中にも租税回避地に国際ビジネスで得た利益を蓄え、上限なしで使えるクレジットカードを持っていました。
今回の資料の中には、米国のロス商務長官がケイマン諸島のオフショア企業を通じて海運会社に投資しており、その海運会社はプーチン露大統領の義理の息子が出資する露エネルギー会社の得意先だったことも明らかになっています。今後、調査に当たる各報道機関は随時、同文書の分析による新情報を開示する見通しです。
この問題は、国際的な規制の取り組みが必要ですが、モラルの問題でもあり、公人が納税義務を回避した場合には、より重い罰則も必要でしょう。しかし、法律や国際的協定を決める側の人間の中にオフショア利用者がいることを考えると簡単にはいかない話と言えます。