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 東レは27日、自動車用タイヤの補強材などを製造する子会社、東レハイブリッドコードの製品検査データ改ざん問題で有識者委員会の調査報告書が発表され、「品質保証に対する子会社経営層の関心が薄く、現状の把握を怠った」などと指摘しました。

 一方、データ改ざんが組織ぐるみ、あるいは特定の役員が主導して行ったかについては、確認できなかったとしていて、法令違反も見つからず、当事者である2人の品質保証室長以外の関与はなかったと結論づけています。

 2017年は、同様なデータ改ざんなどの不祥事が相次ぎました。2月には東洋ゴム工業が、船舶などに使う産業用ゴム製品でデータの偽装があったことを明らかにし、同社は免震ゴムや防振ゴムなどの不正に続く、不正発覚でした。6月には、欠陥エアバッグのリコール問題で経営悪化したタカタが負債総額1兆円超という製造業では戦後最大規模の経営破綻でした。

 10月には神戸製鋼所が、アルミ製品の一部の性能データを改ざんして納入していたと発表、製品の供給先は約200社に及び、アルミ製品のデータ改ざんは一部では10年ほど前から行われていたことが明らかになった。

 さらに日産自動車は9月に表面化した無資格の従業員が完成車検査を行っていた問題に関連し、11月に不正の実態と再発防止策をまとめた調査報告書を公表。12月には国交省の立ち入り検査も行われた。

 個人的には不祥事とされる事案を抱えた企業の関係者を知っており、さらにはその業界にも関与した経験があるので、簡単に企業側を非難することはできません。無論、結果的に規格以下の製品を市場に流した企業の責任は重く、たとえ安全性に問題がなかったとしてもガヴァナンスの問題が問われて当然であることは確かです。

 個々の事例の背景には異なった事情があり、大企業のあら探しの好きなマスコミは、事実を徹底取材することなく、鬼の首を取ったように報じる場合も多く、大企業・大権力=悪との文脈の拡散で企業の風評被害に与える例も少なくありません。

 たとえば、日産の無資格検査に関しては、国交省の定める認証制度には違反していたものの、自動車製造の専門家の中には、そもそも国交省の認定制度自体が時代遅れになっているとの指摘もあります。実際は無資格という言葉だけが一人歩きした感が強かったといえます。

 国交相は面子で立入検査した印象もありますが、国の定める規格や規定、認証制度も時代とともに更新する必要があり、メーカー側と関係省庁のコミュニケーション不足や古い関係体質が原因だったとも言えます。

 とはいえ、不祥事が起きる度に原因究明や再発防止策が発表されますが、社会的制裁を受けることで、逆に規定通り行うことだけに固守するのも考えものです。ものづくりは、決まりに対して受け身では、いいものはできないからです。

 時代の変化で競争力を持つ製品のニーズも変化し、より革新的技術が要求される時代に入っています。企業はその最前線にあり、生き残りをかけて必死なわけですが、これは世界中同じです。ものづくり環境の変化は、国が定める規格や規定、認証制度にも影響を与えるわけですから、国が競争力を削ぐような態度をとるのは問題です。

 無論、企業のガヴァナンスの問題も根本的な意識改革が必要でしょう。データ改ざんのほとんどが納期に合わせるためであったり、経営陣が課した目標のプレッシャーの中から起きています。その意味では直接的に不正に関与していなくとも、不正を生むような経営判断を下した経営陣は非難されるべきでしょう。

 日本のものづくりは、リセットの時を迎えているとも言えますが、高い技術力よりも経営のプロが不在していることの弱みが表面化していると言えます。リーダーシップに対して現場からのたたき上げ信仰を持つ日本ですが、グローバル化で企業体質の根本的リセットを迫られる事態が起きた年だったと言えそうです。

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