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 韓国と北朝鮮による南北当局者会談が約2年ぶりに板門店で開催することが決まり、世界の耳目を集めています。北朝鮮は新年早々、2月に開催される平昌冬季五輪に選手団を送り込むことをちらつかせ、韓国との「対話」への意欲を見せています。

 9日に開催予定の南北会談で北朝鮮側が、五輪参加の条件として何を持ち出すかで、北の真意が見えると専門家らは指摘しています。特に北朝鮮の対話姿勢を受け、トランプ米大統領は韓国側が五輪開催期間中だけは米韓合同軍事演習を延期するとしているのに対し、延期ではなく中止を北朝鮮側から迫られたらどうするかは注目点だとしています。

 さらには開城(ケソン)工業団地の操業再開などを要求する可能性も指摘されています。ただ、韓国側がアメリカと歩調を合わせている北の核開発の全面停止の要求を変えさせる話を持ち出す可能性は薄いと見られています。

 一方、中国商務省は5日、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を受けた国連安全保障理事会決議に基づき、北朝鮮への原油輸出量の上限を年間400万バレルに制限することを柱とした追加制裁措置を6日から実施することを発表しました。

 北朝鮮が韓国との対話路線を打ち出す中で北朝鮮経済に深刻なダメージを与えかねない制裁実施は、アメリカの圧力に答えただけとは思えず、裏がありそうです。

 そこで朝鮮半島問題の基本に立ち帰ってみると、まず北朝鮮は金政権主導での朝鮮半島統一への執念が消えていないどころか、ますます鮮明になっていることが挙げられます。韓国との対話は、日本やアメリカと違い、統一という目的を共有する同じ民族の交渉だということです。

 北がめざす核兵器保有も朝鮮半島統一に向けて、その最も大きな阻害要因であるアメリカと日本の影響力を押さえ込む最も有効な手段と考えていることは明白です。となると核兵器の完成と実践配備を目の前にした北朝鮮は、国連制裁強化の中にあっても、何がなんでも目的を完遂しようとしているということでしょう。

 平昌冬季五輪の成功、とりわけ南北統一選手団を結成することは韓国にとっては是が非でも実現し、国際社会にアピールしたいことだということは北は熟知しているはずです。そこで北の選手団参加、南北対話を持ち出し、それを断れない韓国を利用しようとしているとしか言いようがありません。

 すでに従軍慰安婦をめぐる日韓合意破棄の動きは、韓国が北によって世論操作されてきた長い歴史の成果と言えます。日韓の切り離しは北が最も望むことだからです。同時にアメリカとの対峙も平昌五輪を利用し、アメリカの強硬路線を一時的に緩めることが、核開発の時間稼ぎに繋がります。

 事実、米韓合同軍事演習の延期が発表されています。さらに制裁緩和も望めないことではないと踏んでいる可能性もあります。対話姿勢で平和ムードを演出しながら、確実に核兵器の実践配備と南北統一という目標達成に向かって歩を進める北に主導権を奪われないことが重要です。

 ただ、親北の韓国の文政権は、北に手玉にとられる可能性は非常に高いのも事実。アメリカや日本が北の真意を見抜き、北の独裁国家が国民の自由と人権を抑圧し、反対するものを投獄または殺害してきたことに対して、厳しい姿勢をとり続ける一貫性が重要と思われます。

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