北朝鮮の脅威が過去最高度に高まる状況は、皮肉にも朝鮮半島に住む人々にメリットを与えている。それは北の金正恩朝鮮労働党委員長の核兵器開発の暴走のおかげで、過去のいかなる時よりも朝鮮半島に世界の人々の耳目が集まっていることです。
アメリカの昨年暮れのいくつかの世論調査でも、北朝鮮問題を世界で最も危険な国と認識した人が60%から70%に達し、シリアやイラクを上回っています。アメリカ人やヨーロッパ人にとって、北朝鮮や韓国が地理的にどこにあるのかも知らない人が圧倒的に多かったのが、今では地図上で朝鮮半島の位置を指させる人が子供から老人まで増えています。
英BBCなどの調査でも北朝鮮は世界的脅威の国1位に選ばれています。つまり、安価で品質の高い自動車や家電市場で日本を圧倒する韓国製品の登場でも、極東のどこかにある国程度の認識しかなかった韓国の知名度は北朝鮮のおかげで、一挙に高まりました。
ところが、言論の自由が極端に制限され、閉ざされている北朝鮮については情報が極端になく、専門家と言われる人の数も少なく、状況分析は常に想像の域を出ない。北朝鮮は未だにベールに包まれ、今回の平昌オリンピックへの北の参加や南北閣僚級会議の開催についても北の思惑は想像の域を出ません。
おまけに北朝鮮には予測不能な行動が多く、その行動の真意も不確かな場合が多い。それも国際的約束を平気で破り国際法は無視し、通常、外交上自殺行為とされる行動を何度も取っている。
ところが今、そんな北朝鮮にアメリカのトランプ政権までも吸いよせられ、今やシリアやイラク、パレスチナ以上の脅威をもたらす国と見なされ、北を背後から支援する中国やロシアも金正恩に振り回されている。
韓国は、この状況の中、南北に分断され北に恐喝されるかわいそうな国を演じ、世界からの同情を集めようとしていますが、実は韓国への理解が深まるにつれ、北同様な韓国民の異常性が表面化することも避けられない状況に今年はなりそうです。
日本のコピー商品で世界市場に這い上がった韓国は、韓国製品で国のイメージを高めてきました。しかし、韓国の現状や国民性まで知る人はほとんどいません。ところが北の脅威で少しずつ韓国の実態も明らかになっており、そのイメージはけっしていいとは言えません。
世界のスマホ市場で、iphoneに対峙するgalaxyで一躍有名になったサムスンなどの存在で一時期は韓国は注目を浴び、欧米のビジネススクールや理系の大学で韓国語講座が人気を集めた時期もありましたが、あっと言う間に中国に関心は移り、今は下火です。
経済的危機と北の脅威、政治的混乱で追い詰められている韓国は、平昌オリンピックの成功で、起死回生を図りたいのは明白です。そこに対話路線でつけ込む北朝鮮も、実は国連の経済制裁が効き始めている可能性が高く、核開発にも影響を与え始めていることが予想されます。
核ミサイルの完成と実践配備、金正恩体制での南北統一を最終目標とする北朝鮮、経済的危機を乗り越えたい韓国は、実は両国ともに追い込まれた状況にある。だからこそ両国ともに平昌オリンピックを利用し、窮地を脱しようとしているように見えますが、金正恩の政治手腕に比べれば、南の文政権は迷走ばかりで北が有利です。
唯一北の主導権を渡さないために日米韓の一体化が望まれているわけですが、そこも北の分断作戦が功を奏し、従軍慰安婦をめぐる日韓合意にヒビを入れ、米韓合同演習を延期に追い込むことにも成功しています。
そこで重視すべきは日米韓の国益の一致です。さらには北に対しては日米韓の価値観の共有、自由と民主主義、法治国家という国家を支える理念を共有していることが重要です。そこで問題になるのが韓国が、どこまで価値観の共有ができるのかという疑問です。
北には明確にある国家運営の理念は、韓国には今、希薄です。中国、ロシア、日本という大国に囲まれて、生き延びていくことに必死だった朝鮮半島の人々に確固たる信念を与えているのは北であり、南は拝金主義に振り回せれ、感情だけで動いている。この韓国の情けない状況が朝鮮半島を危険に晒しているように見えます。
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