トランプ米政権は12日、欧米など6カ国とイランの間で結ばれた核合意を破棄し、独自制裁を再開することを見送る決定を下した。オバマ前政権が行った核合意の破棄と制裁の再発動を示唆していたトランプ米大統領は、様子見の姿勢を見せたことになります。
一方、欧州連合(EU)の英独仏の外相は前日、イランのザリフ外相と会談し、イランとの核合意は機能しているとの認識を示しました。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は会談後の記者会見で、「EUは断固としてイランの核合意を維持する決意だ」と改めて表明し、トランプ政権を牽制しました。
核の平和利用を主張しながら、核兵器開発を続けてきたイランに経済制裁などを続けてきた米英仏独中露の6カ国が長い交渉を経て、2015年7月にようやく最終合意したのが制裁解除を含む核合意。
制裁解除の条件としてして定められた行動計画は、濃縮ウラン貯蔵量や遠心分離機の削減などで核開発を制限するもので、オバマ政権の決断が当時、大きくクローズアップされました。
ところがトランプ大統領は就任後、イランとの核合意はイランが核兵器開発を再開する道を残しつつ、経済的利益を得る目的で結ばれたものだったと指摘、「致命的な欠陥が修正されなければ、米国は合意から撤退する」と見直しを求め、米議会にも検討を指示していました。
今回は、合意からの撤退と再制裁は見送ったものの、一方で米財務省は、イラン国内で最近起きている反体制派による大規模デモへの弾圧や弾道ミサイル開発などに関わったとして、核関連とは別に14個人・団体を制裁対象に追加し、引き続きイランに対しては圧力を掛け続ける姿勢を見せています。
一方、欧州連合(EU)の英独仏の外相は前日、イランのザリフ外相と会談し、イランとの核合意は機能しているとの認識を示しました。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は会談後の記者会見で、「EUは断固としてイランの核合意を維持する決意だ」と改めて表明し、トランプ政権を牽制しました。
核の平和利用を主張しながら、核兵器開発を続けてきたイランに経済制裁などを続けてきた米英仏独中露の6カ国が長い交渉を経て、2015年7月にようやく最終合意したのが制裁解除を含む核合意。
制裁解除の条件としてして定められた行動計画は、濃縮ウラン貯蔵量や遠心分離機の削減などで核開発を制限するもので、オバマ政権の決断が当時、大きくクローズアップされました。
ところがトランプ大統領は就任後、イランとの核合意はイランが核兵器開発を再開する道を残しつつ、経済的利益を得る目的で結ばれたものだったと指摘、「致命的な欠陥が修正されなければ、米国は合意から撤退する」と見直しを求め、米議会にも検討を指示していました。
今回は、合意からの撤退と再制裁は見送ったものの、一方で米財務省は、イラン国内で最近起きている反体制派による大規模デモへの弾圧や弾道ミサイル開発などに関わったとして、核関連とは別に14個人・団体を制裁対象に追加し、引き続きイランに対しては圧力を掛け続ける姿勢を見せています。
政権が変わっても外交での合意は前政権から引き継がれることが多いのですが、トランプ政権に限っては、TTPやCOP21のパリ協定からの離脱を始め、オバマ前政権で行ったことをことごとく白紙に戻そうとしているように見えます。
この姿勢をオバマ氏に対するトランプ氏の個人的感情と捉え、ノーベル平和賞をもらったオバマ氏の成果を帳消しにすることで、自分を目立たせようとしているという見方もあります。内容はともかくオバマ氏の業績は全て潰したいという動機が見え見えだというわけです。
ところが、トランプ氏が覆しているオバマ政権時代の合意には、アメリカの保守勢力から見ても大きな欠陥があることも否定できない。シリアで科学兵器が使用されても地上軍を派遣せず、ロシアに化学兵器の処理を委ねたことに始まり、今回のイランとの核合意の背景には直接利権が絡むロシアや中国の思惑が見え隠れしています。
国際政治の専門家たちは、オバマ政権時代に「アメリカのプレゼンスは弱まり、パックスアメリカーナの時代は終焉を迎えた」と分析していました。さらにトランプ政権誕生後にも、アメリカは「自国第1主義」を掲げ、世界の警察官を辞め、世界の主要問題の中心的役割を放棄したとの見方もあります。
しかし、果たしてそうなのか。「アメリカ第1主義」と同時に掲げた「アメリカを再び偉大な国にする」というヴィジョンからすれば、オバマ政権で行われたさまざまな国際合意をリセットするトランプ政権の動きはヴィジョンと合致している。
つまり、トランプ氏やアメリカの保守派から見れば、超リベラル思想を持つオバマ政権時代に、アメリカは骨抜きにされたというのが共通認識です。偉大な国とは、アメリカが国際社会で中心的役割を担い続けることを意味しているからです。
実際、オバマ時代に世界は平和とは逆方向に動き、中国は覇権主義を強め、ロシアのリバイバルを着実なものにし、中東情勢は混乱の度を深め、大量の難民を出し、北朝鮮はアメリカを直接射程に置く核兵器開発を一挙に加速させました。
人道主義、リベラリズムが大好きな欧州もオバマ政権に同調しましたが、リーマンショック、ユーロ危機、英国のEU離脱などで問題を抱え、外交的プレゼンスも弱体化し、世界で起こる地域問題に無力でした。
トランプ氏の中には、世界を混乱に陥れ、なんでもOKの価値観を流布したオバマ・リベラリズムをリセットすることこそ自分の使命と思っているように見えます。それはアメリカの保守本流の考え方にも繋がる内容です。
ブログ内関連記事
