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 欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表は6日、記者会見で北朝鮮と韓国が首脳会談実施で合意したことについて「元気づけられるニュース」と歓迎の意を示しました。今月19日には韓国の康京和外相がEU外相理事会に出席し、北朝鮮の核開発及び南北関係について説明を受けるとしています。

 一方、フランスの保守系日刊紙、ル・フィガロも「2007年以降、初めて実施された北朝鮮への韓国特使団派遣は、平昌冬季五輪に始まる南北間の目を見張る和解ムードの新たな一歩」と評価、ドイツの国営国際放送、ドイチェ・ヴェレは「文在寅大統領の北への接近政策の継続的努力で南北関係が急に回復」と報道、英BBCも「平昌冬季五輪以降、朝鮮半島を巡る関係性は軟化の傾向にある」と報じています。

 極東アジアから1万劼睥イ譟地勢学的に北朝鮮の核の脅威を感じにくい欧州では、北朝鮮が過去、何度も国際社会との約束を反故にし、金正恩朝鮮労働党委員長が自分に刃向かう義兄や叔父を含む多数を処刑してきた21世紀のモンスター独裁者であることも遠い話でしかありません。

 今回の南北首脳会談実現についても「仲良くやれるのであれば、それに越したことはない」程度の受け止めしかしていません。にも関わらず、日本のメディアの中には海外でも南北の対話再開は歓迎されているなどと報じており、北朝鮮の外交戦略は着々と成功を収めているようにも見えます。

 実はトランプ政権発足までは、欧州ほどではないにしろアメリカも同じような距離感がありました。北朝鮮を深読みすることはできないし、日本人でさえ朝鮮半島に住む人々の文脈を読めないのに、西洋人が読めるはずもないという側面もあります。

 今もブレることなく持っている北朝鮮の国家目標は、1、核武装を達成し、アメリカと対等の立場を確保し、金王朝存続を担保させること。2、韓国に親北政権を誕生させ、連邦国家を樹立させ、ひいては金王朝体制による南北統一を実現する。ことです。

 この2つを見据えるなら、昨年、韓国に北寄りでリベラルな文在寅政権が誕生して以来の北の取った行動は、すべて説明がつくことになります。文在寅氏の愛国心を疑う韓国内の保守派勢力に対しては、従軍慰安婦問題を持ち出し、日本との合意を反故にする動きを加速させ、国内の愛国ぶりをアピールし批判をかわしています。

 今回、韓国特使団と合意した内容の中に、意味不明の「朝鮮半島の非核化」があり、「脅威がなくなれば核武装する必要はなくなる」という文言は、朝鮮人らしい具体的中身のない、どうとでも解釈できる内容です。第1、脅威は北が一方的に周辺国に与えてきたもので、周辺国が北に脅威を与えたことはありません。

 いずれにせよ、北の常識破りの外交戦略をアメリカがどのように解釈するかが今後を占う鍵を握ることは確かです。韓国を人質に取られ、融和ムードに沸く朝鮮半島に対して、トランプ大統領のスタンスが少しでもブレ出したら、東アジアは、北主導の恐ろしい事態に直面するでしょう。

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