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 英金融大手HSBCホールディングスは先週末、英国内の女性従業員に昨年支払った報酬が男性従業員に比べて平均59%少なかったことを公表し、話題になっています。英国の大手金融機関の中で男女別の給与格差のデータを明らかにしている中では、最大で全国平均と比べて3倍超の差があると指摘されています。

 さらに同銀は、今年の賃金差は60%に拡大する見通しだとしている一方、理由の背景に従業員全体に占める女性社員の割合が54%であるにも関わらず、幹部職は23%にとどまっていることを挙げています。同様なデータを先月公表した英銀のバークレイズでは、女性の報酬は男性はりも平均48%少ないという数字も出ています。

 一方、HSBCと同じ日にデータを公表した米ゴールドマン・サックス・グループは、英国で働く女性従業員に支払う賃金が、男性より平均で56%低く、ボーナスに至っては、その差は72%と驚くべき数字を示しています。同銀も高報酬を得ている上級職や高報酬の職種を男性がほぼ独占しているとしています。

 英国家統計局のデータでは、同様の格差は全国平均では約18%となっており、金融界の男女不均衡が顕著なことを再認識させられました。ゴールドマンは15日の文書で、役割と成績が同等であれば報酬に男女の格差はないと説明していますが、それでも生じている格差は、女性の昇進がいかに難しいかを物語っていると言えます。

 業種によって男女の報酬差が異なることはあっても、金融界は頭脳プレーが求められる業種ですが、女性の昇進は阻まれている。金融界は一般職と上級職や専門職の給与差がもともと非常に大きいと言われているので、差はさらに大きいわけです。

 日本の大手金融機関でグローバル人材研修を行った私の経験からすると、極端に言えば女性の方が優秀という印象も持っています。フランスでは、閣僚に女性も多く、IMFの専務理事をしているラガルド氏はビジネス界の出身です。

 現在、女性管理職の占める割合が最も多いのは、40%を超えるアメリカで、続いて30%代でフランス、英国と続いている。その英国でさえ、特殊事情とはいえ、金融機関の23%という低さは目を見張るものがあります。

 ダイバーシティが企業価値に繋がるとの考えが拡がる中、積極的な女性登用が叫ばれる一方、ライフワークバランスを重視する女性の雇用、それも管理職雇用となると、経営陣の根本的なマインドセットが必要です。特に日本の場合は抜本的な労働環境の見直しが必要です。

 米ウォールストリートジャーナル紙は3月20日付けで「女性が自信を持って仕事するための戦略とは」という記事を掲載しています。
http://jp.wsj.com/articles/SB12386457582361034431504584112821420163080

 たとえば「男性が多い会議では、女性の自信のなさは特に目につく。2016年の研究によると、女性は発言することが少ない一方、批判や反論で遮られることは多い」とあり、十分想像できる内容です。

 しかし、ダンバーシティマネジメントとは、もともと備わったジェンダーの異なった性格を十分尊重し、仕事に活かしていくのが本来の考えなのです。私は女性は決断力と責任能力をスキルアップする必要があると思う一方、男性の意識変革がさらに重要と考えています。金融機関で昇進できないのも、男性好みの社内での過度の競争や勝負心がそうさせている側面もあるからです。

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