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 米朝首脳会談の可能性が高まる中、世界のメディアは朝鮮半島に関する報道を大量に流している。その量は過去最大といえますが、ほとんどの報道は北朝鮮の金正恩労働党委員長が核武装を放棄するのか、米朝首脳会談が不調、あるいは不成立に終わった場合の極東アジアの軍事的緊張への懸念に集中しているように見えます。

 しかし、そもそも朝鮮半島は、なぜ70年以上南北に分断されたままになり、今も統一を現実的と考える専門家が少ないのか。南北を分断する38度線は、第二次世界大戦末期にソ連軍が対日参戦で朝鮮半島北部に侵攻し、アメリカ軍とソ連軍の分割占領ラインとして定められ、その後の中国軍が侵攻した朝鮮戦争の結果、確定した特殊事情によるところが大きいといえます。

 つまり、ソ連、中国という共産主義大国と、アメリカ、日本という自由主義大国の対立が生み出した分断であり、同じような南北対立があったベトナムは戦争を経て統合され、ベルリンの壁崩壊で東西ドイツも統一したのに対して、最後の「冷戦の置き土産」といえるものです。

 一応、ソ連帝国崩壊をもって冷戦は集結したことになっていますが、その後も30年近く、分断が続き、緩衝地帯となり続けている理由は、どこにあるのか。緩衝地帯という考えそのものが時代遅れの考えではないのか。北出身や韓国の有識者の友人たちは、中国、ロシア、日本、アメリカの大国の思惑の中で翻弄されてきたという被害者意識を非常に強く持っています。

 しかし、中国と国境を接しながらも中国とは常に距離を置き、ソ連の支援のもとで統一を果たしたベトナムやソ連帝国崩壊を背景に統一したドイツと違い、朝鮮半島の人々は、あまりにも他力本願で責任転嫁が激しく、大国依存が強いため、統一を遠のかせてきた側面もあります。

 ただ、38度線が「冷戦の最後の置き土産」だとすれば、その統一には、あまりにも大きな意味があるといわざるを得ません。つまり、南北統一は冷戦の完全終了を意味し、世界は本当の意味で新たな段階に入れるからです。ロシア、中国のアメリカに対する不信感も大きく様変わりする可能性もあります。

 つまり、朝鮮半島が背負ってきた重荷がなくなることは世界にとって大きな意味を持つという話です。今の流れは北朝鮮が描いたシナリオ通りに動いているように見え、金正恩委員長は7、8両日、中国遼寧省大連を訪問し、習近平国家主席と会談し、中国の後ろ楯を確認した形です。この問題で沈黙しているロシアも不気味な存在です。

 欧米の交渉方法としては、まず、互いの意見の違いを明確にすることが第1段階ですが、東洋では信頼構築が先という考えもあります。また、欧米のロジックでは合意事項の履行は絶対的ですが、遵法意識の低いアジアでは、約束は紳士協定程度のことという捉え方の違いもあります。

 トランプ米大統領の強硬姿勢が事態を動かしているという見方もありますが、朝鮮半島の分断を終わらせるのは容易でないことは事実です。しかし、世界にとっても日本にとっても重要な意味を持つことだけは、忘れてはならないことだと思います。

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