
トランプ米大統領のイラン核合意からの離脱決定に対して世界の株式市場は即座に反応し、特に経済への悪影響の懸念が拡がっています。訪米して離脱断念の説得にあたったフランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相は、核合意が消えたわけではないことを確認し、事態の鎮静化に動き出しています。
では、イランの核開発断念と引き換えに解除した経済制裁を再び復活させることは、経済に具体的にどのような影響があるのか。まず、原油不足の懸念から原油価格が上昇していますが、それ以外にもイランとの契約交渉の大半はドル建てで行われているため、アメリカがイランと取引のある外国企業に対して経済制裁を加える可能性がある。
イランとの核合意は、そもそも2015年7月に米英仏独中ロ、欧州連合(EU)とイランが「包括的共同行動計画」で結んだ合意で、それ以降、石油、ガス、自動車、インフラなどのセクターに欧米企業が大挙して殺到し、契約を結んでいます。フランスでいえばエアバスや自動車メーカーが巨額の投資契約を結んでいる。
つまり、アメリカがこれらイランと契約を結んでいる外国企業に対して制裁を加えれば、ディールが頓挫するだけでなく、全ての取引でドルを使用しただけでアメリカ本土で制裁が加えられ、たとえユーロ建てで取引してイランとのビジネスを継続する企業もアメリカの制裁対象になる可能性があります。
これまでも決定した内容で現実を見ながら、手心を加えることをしないトランプ大統領は、徹底した制裁を実行する可能性があります。というのも合意離脱の理由の一つが、イランが核開発を密かに進めているという疑惑だけでなく、テロ支援国家だということだからです。
これはイスラエルのネタニアフ首相の主張でもあるわけですが、シリア紛争で苦戦するアメリカにとって、あるいはイラクやサウジを初め、中東諸国で密かにテロを支援している疑いも含め、イラン封じ込めは、アメリカの国益からして必要という考えです。
これを凝視しているのが北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だということは想像に難くありません。6月12日、シンガポールでのトランプ大統領との首脳会談を控え、いい加減な合意は許さないというトランプ政権の姿勢を見せた形です。しかし、中国の確実な後ろ楯を背景に、核兵器保有を主張する北朝鮮は、イランよりはるかに強い立場ともいえます。
いずれにせよ、アメリカのイラン核合意離脱が、世界経済に与える影響を注視する必要があります。
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