今年3月、USニュース&ワールド・リポートは、「女性が生活しやすい国ランキング」を3月8日の国際女性デーに合わせて公表しました。日本はアジアで唯一20位以内の17位にランクインされましたが、後は予想通り、1位のデンマークを含め北欧4カ国が上位を占め、全て欧米の国々でした。
この調査は、2018年の生活しやすい国ランキングの一部として、世界80カ国の女性9000人以上を対象とした調査をもとに作成されたもので、人権、男女平等、収入の平等性、昇進、治安の5つの指標を各10点満点で評価したものでした。
20位以内にランクインした国々の得点の中身は、5つの指標でバラツキがあり、たとえば、保守的とされるアイルランドは昇進、収入がともに3.6と低い一方、人権は8.1と高得点でした。アイルランドは最近、妊娠中絶の是非を問う国民投票で中絶が認められ、昨年は同性婚合法化も行ったりとリベラル化が進んでいます。
13位の英国、14位のフランスともに男女平等性や人権は高い一方、収入の平等性は低いという結果で、10位以内の国では、8位 のオーストラリアが、人権では9.1と高い一方、男女平等ではわずかに低くい8.4、上位5位以内に入るには5つの指標全てで9以上が必要ということでした。
では、なぜアジアでは日本の17位以外、どの国も20位以内に入らなかったのでしょうか。また、男女平等という意味では、オランダの社会心理学者、ホフステッドの調査した世界的に知られる国民特性の指標では、世界一の男性中心社会の日本が17位に入ったのはどのような理由からなのでしょうか。
実際、日本は議会や会社の中での男女比率は低く、特に女性管理職の占める割合は、データブック国際労働比較2017によれば、トップのアメリカの43.6%に比べ、日本は12.5%で先進国で最低です。女性の社会進出度では東南アジア諸国の方が多く、アジア進出中の日系企業は、現地の女性労働者の質の高さに驚いています。
アジアの女性たちを最も悩ませているのは、人権と治安です。最近、インドで多発する強姦事件などは、女性にとって重要な安全確保に暗い影を落としています。10代での結婚が習慣化している国々も多く、国によっては強制結婚などの習慣もあり、人権という意味では疑問視されています。
一方、たとえば農業が中心の産業構造では、多くは女性は家族経営の農業に従事し、無給で働いており、収入の平等性や昇進とは無縁です。つまり、女性の住みやすい国という意味は産業化、文明化、近代化した社会が前提となっており、たとえばイスラムの国が入る可能性はありません。
ところが、私が知っているイスラム教徒の女性たちは、たとえば、ブルカやチャドル、スカーフを被るのは夫のためではなく、神に対する敬虔の証だと主張していて差別ではないといいます。イスラム教徒以外から見れば男女平等や人権にはなはだしい問題があるように見えても、当人たちは満足している事実もあります。
多様性という意味では、そんな宗教などが規定する人生の価値観も尊重すべきでしょう。リベラルな人々は歴史的習慣を拒否したところにいるので、女性にとって住みやすい国は過去の慣習に囚われず、自由の権利を主張する傾向が強いわけですが、世界を見渡せば、その考えとはほど遠い現実もあります。
そんな中で日本は、伝統価値も尊重しながら、いかに住みやすい国づくりをするのかが問われています。しかし、働き方改革を含め、まずは男女を問わず、本当に心の底から幸福を追求する国にしようとしているのかを考えるべきではないかと私は思います。
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この調査は、2018年の生活しやすい国ランキングの一部として、世界80カ国の女性9000人以上を対象とした調査をもとに作成されたもので、人権、男女平等、収入の平等性、昇進、治安の5つの指標を各10点満点で評価したものでした。
20位以内にランクインした国々の得点の中身は、5つの指標でバラツキがあり、たとえば、保守的とされるアイルランドは昇進、収入がともに3.6と低い一方、人権は8.1と高得点でした。アイルランドは最近、妊娠中絶の是非を問う国民投票で中絶が認められ、昨年は同性婚合法化も行ったりとリベラル化が進んでいます。
13位の英国、14位のフランスともに男女平等性や人権は高い一方、収入の平等性は低いという結果で、10位以内の国では、8位 のオーストラリアが、人権では9.1と高い一方、男女平等ではわずかに低くい8.4、上位5位以内に入るには5つの指標全てで9以上が必要ということでした。
では、なぜアジアでは日本の17位以外、どの国も20位以内に入らなかったのでしょうか。また、男女平等という意味では、オランダの社会心理学者、ホフステッドの調査した世界的に知られる国民特性の指標では、世界一の男性中心社会の日本が17位に入ったのはどのような理由からなのでしょうか。
実際、日本は議会や会社の中での男女比率は低く、特に女性管理職の占める割合は、データブック国際労働比較2017によれば、トップのアメリカの43.6%に比べ、日本は12.5%で先進国で最低です。女性の社会進出度では東南アジア諸国の方が多く、アジア進出中の日系企業は、現地の女性労働者の質の高さに驚いています。
アジアの女性たちを最も悩ませているのは、人権と治安です。最近、インドで多発する強姦事件などは、女性にとって重要な安全確保に暗い影を落としています。10代での結婚が習慣化している国々も多く、国によっては強制結婚などの習慣もあり、人権という意味では疑問視されています。
一方、たとえば農業が中心の産業構造では、多くは女性は家族経営の農業に従事し、無給で働いており、収入の平等性や昇進とは無縁です。つまり、女性の住みやすい国という意味は産業化、文明化、近代化した社会が前提となっており、たとえばイスラムの国が入る可能性はありません。
ところが、私が知っているイスラム教徒の女性たちは、たとえば、ブルカやチャドル、スカーフを被るのは夫のためではなく、神に対する敬虔の証だと主張していて差別ではないといいます。イスラム教徒以外から見れば男女平等や人権にはなはだしい問題があるように見えても、当人たちは満足している事実もあります。
多様性という意味では、そんな宗教などが規定する人生の価値観も尊重すべきでしょう。リベラルな人々は歴史的習慣を拒否したところにいるので、女性にとって住みやすい国は過去の慣習に囚われず、自由の権利を主張する傾向が強いわけですが、世界を見渡せば、その考えとはほど遠い現実もあります。
そんな中で日本は、伝統価値も尊重しながら、いかに住みやすい国づくりをするのかが問われています。しかし、働き方改革を含め、まずは男女を問わず、本当に心の底から幸福を追求する国にしようとしているのかを考えるべきではないかと私は思います。
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