パリでも見かけるハーレーダビッドソン
世界的に知られるアメリカの大型バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが、欧州連合(EU)からの追加関税発動を理由に生産拠点をEUへ移す方針を発表しました。これを受け、トランプ米大統領は26日、実際に海外移転すれば「終わりの始まり」になると警告し、動向が注目を集めています。
今からちょうど30年前、当時シカゴ市長だったデイリー氏のインタビューのために訪れたシカゴの大阪商工会議所事務所で聞いた話を思い出しました。日本がバブル真っ只中の当時、日本企業によるアメリカ企業買収や業務提携が盛んに行われていたおり、苦戦するシカゴ近くに本拠地を置くハーレーダビッドソンにも日本企業からのオファーがあったそうです。
その時のハーレーダビッドソンに反応は「日本企業の資金力など必要としていない」「どんなに厳しくても、アメリカ人の手だけで再生させる自信がある」というものだったそうです。当時はアメリカ自動車メーカーの聖地デトロイトが衰退し、その再生に躍起になっている状況も取材していました。
世界的に知られるアメリカの大型バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが、欧州連合(EU)からの追加関税発動を理由に生産拠点をEUへ移す方針を発表しました。これを受け、トランプ米大統領は26日、実際に海外移転すれば「終わりの始まり」になると警告し、動向が注目を集めています。
トランプ大統領の反応は早く、「ハーレーダビッドソンが他国で製造されることがあってはならない。絶対にだ!」とツイートし、「同社の従業員や顧客はすでに、非常に憤慨している」と指摘し、生産拠点をアメリカ国内にとどめるよう強く警告しました。
今からちょうど30年前、当時シカゴ市長だったデイリー氏のインタビューのために訪れたシカゴの大阪商工会議所事務所で聞いた話を思い出しました。日本がバブル真っ只中の当時、日本企業によるアメリカ企業買収や業務提携が盛んに行われていたおり、苦戦するシカゴ近くに本拠地を置くハーレーダビッドソンにも日本企業からのオファーがあったそうです。
その時のハーレーダビッドソンに反応は「日本企業の資金力など必要としていない」「どんなに厳しくても、アメリカ人の手だけで再生させる自信がある」というものだったそうです。当時はアメリカ自動車メーカーの聖地デトロイトが衰退し、その再生に躍起になっている状況も取材していました。
トランプ氏がツイートの中で、海外に移管すれば「オーラはなくなる」と指摘したのは、まさにハーレーダビッドソンがアメリカのプライド、愛国心の象徴だからです。この30年の間にハーレーダビッドソンは、国内販売の低迷から、すでにブラジル、インド、オーストラリアに工場を持ち、カンザスシティー工場の生産の大部分をタイに移す計画を明らかにしています。
EUがハーレーダビッドソンを含む米国製品に25%の追加関税を発動した理由は、トランプ政権が発動したEU産の鉄鋼・アルミニウムへの関税に対する報復措置です。今はさらにEUの自動車に対する関税をトランプ大統領は検討中で、アメリカは中国だけでなくEUとの貿易戦争も拡大させています。
トランプ政権の打ち出した貿易不均衡是正のための貿易政策は、アメリカに生産拠点を置くことを施す措置でもあったわけですが、アメリカ人のプライドを象徴するはハーレーダビッドソンの海外への生産拠点移管を産む逆効果にもなっている。ハーレーはEUの追加関税で1台あたり平均1,884ユーロのコスト増となるため、海外への移転やむなしというわけです。
ハーレーはトランプ大統領が勝利したウィスコンシン州に本社があり、就任直後にホワイトハウスで大統領を前に自社のバイクを並べた経緯があり、まさにアメリカ・ファーストの象徴的存在でした。実はトランプ支持者の農業関係者は中国輸出で不利益を被ってもトランプを支えると表明しています。
日本とアメリカの貿易不均衡を30年前から取材してきた私としては、トランプ氏の主張は、30年前に安価で高性能な日本車をホワイトハウスの前でアメリカ議員が破壊して見せた当時と、何が違っているのか考えさせられます。
自由貿易を先頭に立って推進してきたアメリカの保護貿易的政策転換は矛盾が露呈している形ですが、トランプ氏の主張には妙な説得力もあります。まさにこの状況をどう読むかがグローバル化への対応で重要さを増しているように感じます。
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EUがハーレーダビッドソンを含む米国製品に25%の追加関税を発動した理由は、トランプ政権が発動したEU産の鉄鋼・アルミニウムへの関税に対する報復措置です。今はさらにEUの自動車に対する関税をトランプ大統領は検討中で、アメリカは中国だけでなくEUとの貿易戦争も拡大させています。
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ハーレーはトランプ大統領が勝利したウィスコンシン州に本社があり、就任直後にホワイトハウスで大統領を前に自社のバイクを並べた経緯があり、まさにアメリカ・ファーストの象徴的存在でした。実はトランプ支持者の農業関係者は中国輸出で不利益を被ってもトランプを支えると表明しています。
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