就任以来、世界を驚かせることの多いアメリカのトランプ大統領は、単なるリベラル嫌いの壊し屋なのか、誰もが知りたいところです。そんな疑問に答える参考になるのが、トランプ氏の理解者で最も重要な任務に就くマイク・ポンペオ米国務長官が最近おこなった説明です。
米ウォールストリートジャーナル紙のコラムニスト、ウォルター・ラッセル・ミード氏が行ったポンペオ氏へのインタビューは、政権当事者であることは前提としても、今のところ私には最も整理されたトランプ論のように見えます。少なくとも彼はトランプ氏のヴィジョンに寄り添って行動していると言えます。
最も重要な点は、トランプ政権は世界秩序の壊し屋ではなく、世界秩序を21世紀の現実に合わせようとしていることです。批判者はそんな理屈は後で取ってつけたもので、単純に前任者と極端に違うアンチ・オバマ政策を展開し、自分を目立たせようとしているだけだというかもしれません。
ポンペオ氏は、トランプ大統領が世界秩序の変更を試みている理由は、現在の体制は第2次世界大戦後に発展したもので、当時は「米国の理にかなっていた」が、冷戦後の世界は地政学的な競争が再燃し、「トランプ氏はリセットの必要性を適切に読み取ってきたと思う」と説明しています。
つまり、トランプ氏は国際的な制度や同盟を疑い、その多くはもはや米国に見返りをもたらさないと考えており、政権内で誰かが何かを提案する時、「その仕組みは米国にどう影響するか」と必ず聞くといいます。それは過去のアメリカではなく、現在と未来のアメリカを強化する(偉大にする)ことに焦点が置かれての質問です。
政治、特に外交は、その場をいかにうまく切り抜けるかに焦点が当てられがちですが、ビジネスマン大統領のトランプ氏にとっては、企業が利益追求に焦点を当てるように徹底して国益に焦点が当てられているともいえます。
トランプ氏が「アメリカ・ファースト」戦略で、世界的リーダーシップから撤退しているとの批判に対してもポンペオ氏のその見方を否定しています。トランプ氏は、アメリカのリーダーシップとアメリカの主権の両方の重要性とを理解していると述べています。
つまり、トランプ氏はアメリカの重要なパートナーである欧州やアジアの同盟国に対して、「公正でも公平ともいえない」規則や慣習の改定を目指しているというわけです。アメリカは強国ゆえに第2次世界大戦以降頼られた反面、その関係は冷戦後もリセットしないままに放置され、アメリカに大きな不利益をもたらしていると主張しているわけです。
だからといって、防衛・通商問題で生じている同盟国との亀裂を放置するつもりはないと明言し、従来の関係を時代に合ったようにリセットした上で、良好な関係を取り戻したいとも語っています。さらに9・11以降、テロ対策に追われた結果、アメリカや同盟国とは根本的に考え方を異にした中国・ロシアの勢力拡大が放置されたことを問題視しているといいます。
中国やロシアは強大化することで主張を強め、彼らが引き起こす地政学的衝突は、テロよりも大きな影響を及ぼすとの認識です。外交に責任を持つポンペオ氏は「米国が確たる主張と共に柔軟な姿勢をもって中国とロシアの政府に対応すべきだ」と語っています。
そのためには、米中がゼロサム(ゲーム)に陥る状況を避けるべく「規則に基づいた体制を構築し実行するような関係が望ましい」と述べ、中国について、公正さを欠く貿易条件の是正、知的財産権の侵害や略奪的な経済行動の修正を目指すとしています。
米ウォールストリートジャーナル紙のコラムニスト、ウォルター・ラッセル・ミード氏が行ったポンペオ氏へのインタビューは、政権当事者であることは前提としても、今のところ私には最も整理されたトランプ論のように見えます。少なくとも彼はトランプ氏のヴィジョンに寄り添って行動していると言えます。
最も重要な点は、トランプ政権は世界秩序の壊し屋ではなく、世界秩序を21世紀の現実に合わせようとしていることです。批判者はそんな理屈は後で取ってつけたもので、単純に前任者と極端に違うアンチ・オバマ政策を展開し、自分を目立たせようとしているだけだというかもしれません。
ポンペオ氏は、トランプ大統領が世界秩序の変更を試みている理由は、現在の体制は第2次世界大戦後に発展したもので、当時は「米国の理にかなっていた」が、冷戦後の世界は地政学的な競争が再燃し、「トランプ氏はリセットの必要性を適切に読み取ってきたと思う」と説明しています。
つまり、トランプ氏は国際的な制度や同盟を疑い、その多くはもはや米国に見返りをもたらさないと考えており、政権内で誰かが何かを提案する時、「その仕組みは米国にどう影響するか」と必ず聞くといいます。それは過去のアメリカではなく、現在と未来のアメリカを強化する(偉大にする)ことに焦点が置かれての質問です。
政治、特に外交は、その場をいかにうまく切り抜けるかに焦点が当てられがちですが、ビジネスマン大統領のトランプ氏にとっては、企業が利益追求に焦点を当てるように徹底して国益に焦点が当てられているともいえます。
トランプ氏が「アメリカ・ファースト」戦略で、世界的リーダーシップから撤退しているとの批判に対してもポンペオ氏のその見方を否定しています。トランプ氏は、アメリカのリーダーシップとアメリカの主権の両方の重要性とを理解していると述べています。
つまり、トランプ氏はアメリカの重要なパートナーである欧州やアジアの同盟国に対して、「公正でも公平ともいえない」規則や慣習の改定を目指しているというわけです。アメリカは強国ゆえに第2次世界大戦以降頼られた反面、その関係は冷戦後もリセットしないままに放置され、アメリカに大きな不利益をもたらしていると主張しているわけです。
だからといって、防衛・通商問題で生じている同盟国との亀裂を放置するつもりはないと明言し、従来の関係を時代に合ったようにリセットした上で、良好な関係を取り戻したいとも語っています。さらに9・11以降、テロ対策に追われた結果、アメリカや同盟国とは根本的に考え方を異にした中国・ロシアの勢力拡大が放置されたことを問題視しているといいます。
中国やロシアは強大化することで主張を強め、彼らが引き起こす地政学的衝突は、テロよりも大きな影響を及ぼすとの認識です。外交に責任を持つポンペオ氏は「米国が確たる主張と共に柔軟な姿勢をもって中国とロシアの政府に対応すべきだ」と語っています。
そのためには、米中がゼロサム(ゲーム)に陥る状況を避けるべく「規則に基づいた体制を構築し実行するような関係が望ましい」と述べ、中国について、公正さを欠く貿易条件の是正、知的財産権の侵害や略奪的な経済行動の修正を目指すとしています。
さらにロシアについても、「両国の価値観は信じられないほど異なるが、共通点を見つけられる分野もある」として、国務長官としてそれを探し、協力できる場所を見つけることで、アメリカの国益を守るのが自分の仕事だと語っています。
インタビュアーは、世界秩序の規則を米国に有利なように書き換えながら、地政学上のライバルと安定した関係を築くのは難しいと指摘しています。理由は「慣性は国際関係の強力な力であり、制度や以前からの合意を変えるのは難しい」からとしています。
ヘタをすれば、今回の関税問題のように同盟国と敵国が団結して、アメリカに反発し、アメリカを危険に晒すリスクもある。同時に「トランプ氏のいう通り、冷戦時代に構築された国際的規則や制度は新たな政治・経済・軍事的圧力に耐えられるよう改革すべき」という点は同意もしている。
政治的に無知で見識がない 一貫性がない、思いつきの政策だ、壊すだけで新しいものはえられないなどの批判の多いトランプ氏ですが、ポンペオ氏は、トランプ氏が明確な世界観を持って動いていると明言している。それがポンペオ氏の単なる思い込みなのか、政権擁護の上辺的説明なのかは、今後の行動で明らかになることでしょう。
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