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 徴用工問題や違法輸出問題で大阪G20サミット開催までに韓国から回答を得られなかったことなどを理由に、日本政府は先週、日本製の半導体材料が北朝鮮などが第3国に流れ、大量破壊兵器の製造に転用されている安全保障上の理由から、輸出規制を強化したため、日韓関係は極度の緊張状態にあります。

 反日姿勢を前面に出す文在寅政権の日本政府への抗議と非難、憤慨ぶりが伝えられていますが、韓国を特別優遇してきた日本としては、優遇措置を解除し、普通の状態に戻しただけなのに、何をそこまで怒っているのか、やっぱり韓国人には普通の常識が通じなんだと日本はあきれ顔状態です。

 日本側からすれば、輸出規制強化の根拠としている第3国への不正輸出や徴用工問題で明確な回答さえ得られれば、ここまで事態を悪化させずに済んだのにと思うかもしれませんが、韓国が怒っている問題の本質は、実は韓国の国際的メンツがつぶされたことにあると私は見ています。

 大量破壊兵器製造に転用可能な製品を一部の韓国企業が違法に輸出していたことが、国際社会に対して白日の下に晒され、それを見逃していた政府も含め、韓国のビジネス面での国際信用度が下がることを問題視しているということです。

 欧州は安全保障貿易管理において、韓国を最も信用度の高いホワイト国にしていません。北朝鮮問題を抱える韓国に対しては当然の措置だと思いますが、日本は近年、日韓関係重視の観点から韓国をホワイト国に指定しています。この指定も日本政府は今回、解除し、欧州と同じ扱いにすることを表明しています。

 韓国は経済協力開発機構(OECD)に加盟したのは、1996年で29番目の加盟国になりました。当時、韓国では支援を受ける国から支援する国に発展し、先進国の仲間入りを果たしたと大騒ぎしました。当時、元駐デンマーク韓国大使で日本の士官学校出の張氏に会う機会があり、彼は「先進国には程遠い」といっていたのを思い出します。

 それでも、通貨危機を乗り越え、韓国の経済規模は2倍、輸出額は6倍に増え、サムスンは米アップルのiphoneとスマートフォンの世界市場を激しくぶつかるまでに成長しました。彼らにとっては、1にも2にも国家のプライドで、一流国の評価を得ることは何にも代え難いほど重要なことです。

 特にとっくの昔に先進国入りしている日本に対する競争心と嫉妬心は、日本人の想像をはるかに超えたものです。今回の1件は、本当の意味で先進国に上り詰める重要なステージに立つ韓国が経済危機に直面する中、本当は頼みにしていた日本にハシゴを外された形です。

 日本からすれば、頼みにしているのなら、徴用工や従軍慰安婦問題で誠意を示し、日本から輸出した製品を違法に第3国に売るようなことはしなければいいのにと思うかもしれません。しかし、反日世論で選ばれた文在寅政権は、日本の要求を受入れれば、1970年代に共に左翼運動で戦って今は閣僚にもなっている同士や反日世論から突き上げられるのは必至です。

 国内総生産(GDP)だけみれば、韓国は昨年は世界9位で、輸出は世界6位となり、アジアでは日本に次いで2番目に世界の主要国入りしたいところです。だからこそ日本に対して強気なわけですが、実態は韓国でしか作れない技術はなく、多くを日本のテクノロジーに依存し、ノーベル賞受賞者もいない上げ底実情です。

 韓国は今回、日本の主張を完全否定しながら、10日には約30社の韓国企業トップが大統領府に集められ、改めて毅然として日本に撤回を求める方針を表明しましたが、大統領が一方的意思表明するだけで企業幹部と意見交換する場でなかったあたりは、韓国や中国らしい一方通行の会合でした。

 さらにサムスンの実質的なトップ、李在鎔副会長が理由は明かさないまま来日し、対応に追われている様が見えています。韓国政府は、アメリカに助けを求めるべく、康京和外相が10日、ポンペオ米国務長官と電話会談し、輸出規制が韓国企業だけでなく、アメリカ企業、さらには世界の貿易秩序にも否定的影響を及ぼすと訴え、世界貿易機関(WTO)でも日本の決定の不当性を主張しました。

 自分の評価を上げるために自ら努力するより、相手の国際的評価を貶めることに腐心する韓国の典型的な手法は、良識ある先進国に通用するとは思えません。朴槿恵前大統領がヨーロッパ歴訪で日本の悪口を言い続けたことを思い出します。徴用工や従軍慰安婦問題を世界にアピールするのも日本の世界的評価を貶めるためです。

 今回は日本に韓国的手法を使われたと韓国は思って焦っているのでしょう。ただ、日本は逆に国際社会に対する発信力が極端に弱く、今回の措置の正当性を誰もが理解できる客観性を持って説明できていないのは不安要因です。重要なことは、正当性のある主張を何度でも繰り返し述べ続けることです。

 日本政府は韓国への配慮もあって、G20まで韓国の回答を待ったと思われますが、心遣いがあだになることもあります。文在寅政権への読みが甘かったともいえます。

 それに結果として、回答しなかった文在寅氏をG20大阪で安倍首相に冷遇したことは、文在寅氏は、きっと一生忘れないでしょう。何でも根に持つ国民性の韓国人にとってサミットで恥をかくことは絶対に受け入れがたいことです。それなら誠実な姿勢を先に見せればいいのにというかもしれませんが、反日大統領にはそれはできません。

 日本は、十分で正確な説明をすることが重要で、状況によって言い方を変えたりせず、一貫性をもって主張し続けることです。日本人は1回いえば十分と考えがちですが、変化する状況の中、異文化の相手が理解するまでには忍耐強く説明を繰り返すしかありません。それでも正確に伝わらないのが異文化というものです。

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