最新版でランキング1位だったスイスのジュネーヴ
英金融大手HSBCホールディングスが毎年発表する「世界で住みたい・働きたい国ランキング」の2019年版が発表されました。調査対象は出身国以外で働く高度人材(通称、エックスパット)、1万8000人以上から回答を得ています。
調査内容は「生活」「キャリアの機会」「家庭生活」の3つを指標からなっており、いわゆるワーク・ライフ・バランスの観点で見ているといえるでしょう。
トップ10の常連国は1位スイス(2018年版8位)、2位シンガポール(1位)、3位:カナダ(4位)、4位スペイン(13位)、5位ニュージーランド(2位)で、オーストラリアは今年も昨年も6位で安定しています。
英金融大手HSBCホールディングスが毎年発表する「世界で住みたい・働きたい国ランキング」の2019年版が発表されました。調査対象は出身国以外で働く高度人材(通称、エックスパット)、1万8000人以上から回答を得ています。
調査内容は「生活」「キャリアの機会」「家庭生活」の3つを指標からなっており、いわゆるワーク・ライフ・バランスの観点で見ているといえるでしょう。
トップ10の常連国は1位スイス(2018年版8位)、2位シンガポール(1位)、3位:カナダ(4位)、4位スペイン(13位)、5位ニュージーランド(2位)で、オーストラリアは今年も昨年も6位で安定しています。
新参としては昨年22位だったトルコが7位、18位だったベトナムが10位にランクインし、3位だったドイツは8位に転落しています。最も転落が大きかったのは昨年7位だったスウェーデンが20位に落ちていることです。確実にランキングを上げているのがフィリピンで26位から24位に上昇し、アメリカの23位に迫っています。
日本はといえば、2017年22位だったのが2018年に30位、2019年度版では32位にランクが落ちています。外国人材の本格導入に入った日本としては厳しい数字といえるかもしれません。
HSBC: Expat Explorer Survey
一方、エックスパットが、どこの国で平均給料をいくらもらっているのかのランキングでは、1位スイス(2,029万円)、2位アメリカ(1,851万円)、3位香港(1,787万円)、4位中国(1,727万円)、5位シンガポール(1,622万円)、6位アラブ首長国連邦(1,550万円)、7位インド(1,318万円)などとなっており、日本は9位で1,274万円でした。
働きたい・住みたい国と報酬が一致しているのはスイスやシンガポールくらいで、他の国はあまり比例していません。もちろん、物価の非常に高いスイスでは、それなりの報酬が必要ですし、働きやすいとか住みやすいを度外視して稼げる国が報酬ランキングとも簡単にはいえません。
今は昔の日本と違い、海外経験者は自国に帰国後、昇進する例が多い一方で、多くの国の中で最も海外に行きたがらないサラリーマンが多い国ともいわれています。海外での収益が国内を上回る日本企業が増える中、これは深刻な問題と捉えるべきでしょう。
たとえば、フィリピンが働きたい・住みたい国ランキングで上昇しているのを見て、日本人は頭を傾げるかもしれません。大統領が旗を振って犯罪者を次々に射殺するような治安の悪い国で働くなんてという日本人も少なくないでしょう。
ところがフィリピンは、米シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が昨年秋に発表した報告書によれば、向こう10年間に持続的な成長を続ける準備が整っている数少ない新興国市場の1つとしています。実際、私の従弟はフィリピン駐在2年ですが、快適に生活しているようです。
駐在員は、せいぜい2年から5年間しか駐在せず、それも一般市民が生活するような地区ではなく、最も富裕層が住む安全なエリアで生活し、会社も通常、都市のオフィスビルか隔離された郊外の工業団地です。多くの途上国、新興国では駐在員家庭はメイドを雇い、運転手付きの車に乗り、特権階級の生活が味わっています。
日本では通勤に2時間近くかけ、満員電車に揺られ、住む家も小さく、特権階級とは程遠い生活で、人間付き合いで神経をすり減らす生活をする都会人は多いわけですが、駐在期間は冠婚葬祭からも解放され、家族で過ごす時間も多くなり、自由度も増します。
スイス、シンガポール、カナダなどのランキング上位国は、食住の生活の質が高く、治安が安定し、自然環境にも恵まれ、職場もゆったりし、キャリアも磨けることが魅力といえます。その意味では今後、日本がランキングを上げていくのは至難の業かもしれません。
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今は昔の日本と違い、海外経験者は自国に帰国後、昇進する例が多い一方で、多くの国の中で最も海外に行きたがらないサラリーマンが多い国ともいわれています。海外での収益が国内を上回る日本企業が増える中、これは深刻な問題と捉えるべきでしょう。
たとえば、フィリピンが働きたい・住みたい国ランキングで上昇しているのを見て、日本人は頭を傾げるかもしれません。大統領が旗を振って犯罪者を次々に射殺するような治安の悪い国で働くなんてという日本人も少なくないでしょう。
ところがフィリピンは、米シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が昨年秋に発表した報告書によれば、向こう10年間に持続的な成長を続ける準備が整っている数少ない新興国市場の1つとしています。実際、私の従弟はフィリピン駐在2年ですが、快適に生活しているようです。
駐在員は、せいぜい2年から5年間しか駐在せず、それも一般市民が生活するような地区ではなく、最も富裕層が住む安全なエリアで生活し、会社も通常、都市のオフィスビルか隔離された郊外の工業団地です。多くの途上国、新興国では駐在員家庭はメイドを雇い、運転手付きの車に乗り、特権階級の生活が味わっています。
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スイス、シンガポール、カナダなどのランキング上位国は、食住の生活の質が高く、治安が安定し、自然環境にも恵まれ、職場もゆったりし、キャリアも磨けることが魅力といえます。その意味では今後、日本がランキングを上げていくのは至難の業かもしれません。
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