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 昨年1月にパリに到着した日本人男性は、語学学校に通いながら、仕事もしようと意気込んでいました。何度も来ているフランスで長期滞在をめざすのは初めて。一時帰国の計画もあったようですが、コロナ禍で足止めされ、語学学校も休校が続き、数週間働いた店も閉店し、今は政府から支給される給与保障で生活しているそうです。

「この生活が悪くないんです。ほんの数週間働いただけだけど、ちゃんと休業に伴う給与保障が出ているので生活には困っていません」という一方、「残念なのは、これから夕方から外出できなくなるのと、コロナが心配だけど、働かずにお金を受けとる生活は想像もしていなかった」とパリ生活を楽しんでいます。

 フランスのカステックス首相は14日夜、関係閣僚とともに記者会見を行い、1部に限定されていた外出禁止開始時間18時を全土に適応することを含む、新型コロナウイルス感染対策を発表しました。同措置は2週間は継続するとしています。

 フランス政府は、欧州全体で感染力の強い英国初の変異種が依然、感染拡大している一方、フランスでは年末年始の爆発的な感染拡大はなく、新規感染件数、陽性率も欧州の中では低く抑えられているとの分析結果を示しました。一方、入院件数、集中治療室(ICU)の患者占有率が増加しているため、感染抑制の新たな措置が必要との認識を示しました。

 フランスは昨年12月15日以降、夜20時からの夜間外出禁止措置を発令し、今年に入り、仏東部、南東部地域25県に限定して開始時間を18時に前倒ししていました。今回、全土で夜間外出禁止開始時間を早めたのは、すでに導入した25県で感染抑制の効果が出ているからだとしています。

 経済活動を止めたくない政府は、日中の経済活動、学校生活、人の移動の継続を認めながら、感染抑制措置を全国に広げた形だ。人の密集を避けるため商店や商業施設は18時には閉店となる一方、買い物が集中することが予想される週末の日曜営業も例外的に認めることにしました。

 無論、売り上げの4割以上が18時以降に集中するパン屋を含む食品店は不満の声を上げており、18時までに自宅にたどり着くため、公共交通機関の通勤客の利用が夕方に集中することで密の状態になることを懸念する声も聞かれます。その一方で英国やドイツ、イタリアの深刻さを見て「ロックダウン(都市封鎖)していないだけいい」という人もいます。

 アメリカと違い、職を失ってすぐにホームレスになる人は少ないので、なんとなく危機感が緩いともいえます。政府の経済支援の柱は連帯基金で、2020年12月分の連帯基金の申請手続は1月15日から開始され、来週初めに給付がなされます。

 たとえば、レストランなどの宅配、テイクアウトによる売上は、連帯基金の支給額算定の根拠となる売上として計上する必要ない。レストランやカフェに関係する卸売業者、納入業者等のうち、売上が70%以上減少している企業は、連帯基金から、月20万ユーロを上限に2019年の売上の20%に相当する額の給付を受けることができる。

 休業措置の対象となっている企業及びそれらに関連するセクターに属する企業のうち、月の売上が100万ユーロ(約1億2,600万円)を超える企業に対して、固定費の70%を支援。この支援は連帯基金に上乗せされるもので、2021年1月から6月までの間に300万ユーロを上限として実施。300万ユーロは出発点で、この上限額を引き上げるために欧州委員会と交渉中です。

 興味深いのはフランス政府がGAFAなどを念頭にデジタル税を導入したことで、アメリカが制裁措置としてフランスのワインやコニャックに対して追加関税を課したことで苦戦するブドウ栽培農家に対して、連帯基金による支援を実施することになったことです。売上減少が50%以上の場合、月20万ユーロを上限に2019年の売上の15%を補償するなどの措置が導入されました。

 その他、すべての企業は規模に関係なく、政府保証付融資の返済開始時期を1年間遅らせることができ、政府保証付融資以外の融資についても、民間金融機関は寛大な姿勢で、ケースバイケースで支払猶予や債務繰延べを検討するよう政府に要請されてます。
 
 その他、2020年12月に実施された社会保険料の支払免除等の措置を2021年1月も継続し、対象はレストラン、カフェ、ホテル、文化、スポーツ等のセクターに属する企業で、休業中または売上が50%以上減少しているすべての企業とするとしています。フランスでは社会保険料は高負担なので助かる人も多いでしょう。

 その他、経済活動に必要な設備について、減価償却の先延ばしを認めるなど、細かな経済対策が今回明らかになりました。さらに増税は行わないことも約束し、数年前から実施している減税を今後も継続するとしています。

 それとは別に経済再生を加速させるプランとして1000億ユーロを準備し、企業の投資、イノヴェーション、雇用創出に重点的に使うなどの経済復興プランを1月28日に明らかにすると説明しています。

 政府によれば昨年11月は300万人の労働者が部分的失業制度の対象となり、給与保障など恩恵を受けているということです。レストラン、体育館、ナイトクラブ等で部分的な休業措置の対象となる企業(今回は18時以降の夜間外出禁止措置の影響を受ける商店等)については、政府は、衛生基準を順守することを条件に企業が従業員へ支払う休業補償を100%助成する方針です。

 前出の日本人男性も、政府の保障対象となっているため、働かずしてパリ生活を不謹慎ながら楽しんでいるというところです。

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