国民連合総裁を辞任し、議会に集中するマリーヌ・ルペン氏
フランスは4月の大統領選挙に続き、国民議会(下院=577議席)選挙を19日に終え、今後5年間の政権体制が決まりました。20日の仏内務省の発表では、マクロン仏大統領率いる中道の与党連合が245議席を獲得し、最大勢力になったものの過半数に届きませんでした。
一方、第2勢力となったのは133議席を獲得した左派連合、次が何と過去には極右だった右派の国民連合(RN)で89議席を獲得し、歴史的躍進となりました。棄権率が53・77%と高かったのも今回にお選挙の特徴でした。
5年前の選挙で8議席を獲得した国民連合が10倍以上の議席を獲得したのも、過半数を得る政党が下院でいないのも1958年からスタートした第5共和政始まって以来。マクロン氏は自らが設立した中道の共和国連合(REM)を足掛かりに、政治家改革を進めてきたのが足踏み状態に陥った形です。
とはいえ、既存大政党が破壊された前回選挙で衰退した政党が復活したわけでもありません。右派側は、歴代大統領を生んだ中道右派・共和党(LR)は100議席以上あったのが61議席に減らしました。オランド大統領などを輩出した社会党とも左派連合に加わり命を保つ状況です。
結果として第2期マクロン政権の政権運営の不安定化は避けられず、LRの協力が不可欠な情勢となりました。5年前の選挙で308議席を獲得し、単独過半数の圧倒的勢力を獲得したREMは、この5年間、マクロン氏の主導する労働法改正や国鉄(SNCF)改革などを次々に断行しました。
しかし、後半は反政府の黄色いベスト運動が長期化し、その間に議員の離党などでREMは過半数割れしていました。2期目のマクロン政権の船出は厳しいもので議会で法案を通すにはLRの協力が不可欠です。
一方、左派は急進左派のメランション氏が4月の大統領選で善戦し、第一回投票で3位につけたことから、劣勢の社会党などを巻き込み、左派連合を結成し下院選挙を戦いました。結果は過半数には大きく届かなかったため、メランション氏の首相指名はなくなりましたが、左派連合の存在感は増した形です。
今回、89議席を獲得したRN率いるマリーヌ・ルペン氏は4月の大統領選の決選投票でマクロン氏に敗北したものの、過去最高の得票数で下院選にも手ごたえを感じていたと伝えられます。政権政党をめざすRNのトップだったマリーヌ・ルペン氏は党首を辞任し、議会に専念するそうです。
与党連合は最大勢力を維持したものの、5月に発足したばかりの新内閣で、ブルギニョン保健相ら閣僚3人が落選し、交代を余儀なくされています。
ウクライナ情勢悪化に対処するため欧州連合(EU)でリーダーシップを発揮したいマクロン氏は、今週末から来週にかけ、EUとNATO首脳会議を控え、安定政権確保をめざしましたが結果は厳しいものでした。
第5共和政始まって以来、過半数を占める政党がない新たな状況になったわけですが、考えてみれば、多くの先進国が1党で過半数を占めるのは英国ぐらいで、他の国は連立で政権運営するしかない状況が普通になっています。
フランスの大政党の衰退は、長年政治課題だった景気回復と失業問題が解決できなかったからですが、金融界出身の39歳のマクロン氏に任せてみたら、今度は金持ちや大企業重視で独裁ぶりが目について、国民の不信を買った形です。
結果的に極端な主張をするポピュリズムの国民連合やメランション率いる左派連合に一定の支持が集め、フランス政治は迷路に差し掛かったようにも見えます。
フランスは4月の大統領選挙に続き、国民議会(下院=577議席)選挙を19日に終え、今後5年間の政権体制が決まりました。20日の仏内務省の発表では、マクロン仏大統領率いる中道の与党連合が245議席を獲得し、最大勢力になったものの過半数に届きませんでした。
一方、第2勢力となったのは133議席を獲得した左派連合、次が何と過去には極右だった右派の国民連合(RN)で89議席を獲得し、歴史的躍進となりました。棄権率が53・77%と高かったのも今回にお選挙の特徴でした。
5年前の選挙で8議席を獲得した国民連合が10倍以上の議席を獲得したのも、過半数を得る政党が下院でいないのも1958年からスタートした第5共和政始まって以来。マクロン氏は自らが設立した中道の共和国連合(REM)を足掛かりに、政治家改革を進めてきたのが足踏み状態に陥った形です。
とはいえ、既存大政党が破壊された前回選挙で衰退した政党が復活したわけでもありません。右派側は、歴代大統領を生んだ中道右派・共和党(LR)は100議席以上あったのが61議席に減らしました。オランド大統領などを輩出した社会党とも左派連合に加わり命を保つ状況です。
結果として第2期マクロン政権の政権運営の不安定化は避けられず、LRの協力が不可欠な情勢となりました。5年前の選挙で308議席を獲得し、単独過半数の圧倒的勢力を獲得したREMは、この5年間、マクロン氏の主導する労働法改正や国鉄(SNCF)改革などを次々に断行しました。
しかし、後半は反政府の黄色いベスト運動が長期化し、その間に議員の離党などでREMは過半数割れしていました。2期目のマクロン政権の船出は厳しいもので議会で法案を通すにはLRの協力が不可欠です。
一方、左派は急進左派のメランション氏が4月の大統領選で善戦し、第一回投票で3位につけたことから、劣勢の社会党などを巻き込み、左派連合を結成し下院選挙を戦いました。結果は過半数には大きく届かなかったため、メランション氏の首相指名はなくなりましたが、左派連合の存在感は増した形です。
今回、89議席を獲得したRN率いるマリーヌ・ルペン氏は4月の大統領選の決選投票でマクロン氏に敗北したものの、過去最高の得票数で下院選にも手ごたえを感じていたと伝えられます。政権政党をめざすRNのトップだったマリーヌ・ルペン氏は党首を辞任し、議会に専念するそうです。
与党連合は最大勢力を維持したものの、5月に発足したばかりの新内閣で、ブルギニョン保健相ら閣僚3人が落選し、交代を余儀なくされています。
ウクライナ情勢悪化に対処するため欧州連合(EU)でリーダーシップを発揮したいマクロン氏は、今週末から来週にかけ、EUとNATO首脳会議を控え、安定政権確保をめざしましたが結果は厳しいものでした。
第5共和政始まって以来、過半数を占める政党がない新たな状況になったわけですが、考えてみれば、多くの先進国が1党で過半数を占めるのは英国ぐらいで、他の国は連立で政権運営するしかない状況が普通になっています。
フランスの大政党の衰退は、長年政治課題だった景気回復と失業問題が解決できなかったからですが、金融界出身の39歳のマクロン氏に任せてみたら、今度は金持ちや大企業重視で独裁ぶりが目について、国民の不信を買った形です。
結果的に極端な主張をするポピュリズムの国民連合やメランション率いる左派連合に一定の支持が集め、フランス政治は迷路に差し掛かったようにも見えます。
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