plant-photography-flower

 日韓間の最大の懸案事項の1つ、徴用工問題について韓国の朴振(パクジン)外相は27日、「日本企業の財産の現金化が行われる前に、望ましい解決策を模索するため、責任感を持って努力する」と表明しました。同時に日本側にも「誠意ある対応」を再度求めました。

 韓国の元徴用工訴訟では、敗訴した三菱重工業の特許権や商標権の売却命令が今年、最高裁で最終確定する可能性が高く、具体的現金化の段階に入れば、文在寅前左翼政権で悪化した日韓関係の改善に意欲を示す尹錫悦新政権との信頼関係構築に決定的なヒビが入ることが予想されます。

 そもそも徴用工問題は被害者意識しか持てない左翼イデオロギーに支えられた政治勢力が捏造した歴史がもとになっており、日本側は相手にできないとしてきました。

 それに1965年に日韓国交正常化の際に締結された日韓基本条約及び請求権・経済協力協定という国際条約や、2015年の慰安婦問題日韓合意での不可逆的合意からしても条約や国際合意違反であることは間違いありません。

 国家間の条約がこじれた近年の例としては、英国が欧州連合(EU)から離脱する際に取り交わした離脱条約の議定書の中で北アイルランドの貿易問題が最も新しい事例でしょう。

 同事例では北アイルランドとアイルランドの国境検問を避けるため、北アイルランドの貿易はEUのルールが適応されるということが議定書にあります。しかし、結果的に英国本土からのEU輸出制限で北アイルランド人が英国同様の食品を口にできない状況が生まれ、ジョンソン前首相は合意したはずの議定書の無効をEUに迫っています。

 原則論しか通じないEU側は条約違反の申し出を真っ向から跳ね返していますが、実は英国議会も「国際条約を破れば、EU離脱した独立主権国家、英国の国際的信用がなくなる」とルール変更に否定的な議員も少なくありません。

 もっとも、ロシアのウクライナ侵攻などは、第2次世界大戦後に定まった他国の領土に軍事侵攻し、力で国境変更を行う行為そのものが国連加盟国間の禁止事項であり、それを破るロシアは、5ヵ国しかない国連安保理常任理事国というのは、開いた口がふさがりません。

 実は戦時中、日本の同盟国だったドイツのヒットラーが1940年にフランスに軍人侵攻し、4年に渡りフランスを占領した過去があります。長い歴史の中で領土の形がほぼ変更されなかったフランスにとっては、最も屈辱を味わった経験でした。それも生き延びるために理不尽なユダヤ人狩りまでさせられました。

 戦勝国の1員となった(連合国の仲間に入れられず)フランスは戦後、ドイツに対して延々と恨み節を叫び、国内で反独教育を徹底したかといえば、そんなことはありませんでした。

 ドイツからの解放後、性的な対独協力者とされた女性たちを丸刈りにする悲惨な事例もあった一方、恨みを持つ国民感情に対してポンピドゥー大統領は未来を向くため許しが必要と述べ、やがて国民から恨みの感情は消えていきました。

 実は1970年代からフランスの外交官がドイツ人と結婚する例は徐々に増え、それが問題になることはありませんでした。それに自国で起きる悪いことを何でも他国のせいにする習慣はなく、独立主権国家の意識の強いフランス人には無意味で恥ずかしいことであり、ドイツをさげしめ、排撃することもしませんでした。

 その根底にあるのはキリスト教の許しの精神でした。恨みを乗り越えられない負のスパイラルは文明国が避けるべきものです。イエス・キリストは「汝の敵を愛せよ」と教えたことはキリスト教の核心です。

 今、仏独関係は過去のいかなる時よりもよく、EUの統合・進化のためのけん引役として協力関係を強化しています。恨みを持ち続ける人間は毒を持ち続ける人間として蔑まれるのが欧米文化であり、恨みは加害者に謝罪させることより、支援や協力によって帳消しにしようというわけです。

 無論、キリスト教も多くの間違いを犯しており、アフリカ植民地政策では奴隷制度を含め、多くの犠牲者を出しました。最近、ローマ教皇フランシスコがカナダを訪問し、カトリック教会が先住民の子どもの大量殺戮を行っていた事実に謝罪しましたが、あまりのひどい話にキリスト教とは到底思えない悪行は裁かれるべきだと思います。

 不幸にもアジアには謝罪と許しの文化が存在しません。特に中国と中国の支配を長年受けた朝鮮半島の人々には謝罪することも許すことも文化の中に存在しないことが問題を長期化させています。日本は確かに謝罪し過ぎですが、謝罪の文化があることは文明国の証と思うべきでしょう。

ブログ内関連記事 日米韓で危機を乗り越える 過去の呪縛ではなく教訓を生かせる主体的リーダーシップの必要性
韓国法相辞意、検事総長停職 権威主義を卒業し韓国は民主主義の次のステップに行けるのか
中国・韓国で金を貸すなは本当か アジアの甘えの構造と付き合う方法はあるのか
なぜ日本人は謝り、中国人は謝らないのか 日本の謝罪文化の背景に主人に仕える忠、親を支える孝の精神