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 今月、韓国が中国との国交正常化に踏み切って30年が経ちました。思えば1992年、東西冷戦終結後の韓国が経済面で中国に急接近したことは衝撃的でした。朝鮮半島は中国、ロシア、日本に囲まれ、在韓米軍によって中国、ロシアと対峙してきた韓国が新たな1歩を踏み出した意味は大きかったといえます。

 それから30年、たとえばサムスン電子はスマートフォンのギャラクシーで2013年、中国市場で約20%のシェアを占め、トップだったのが、2021年はシェア0.6%にまで落ち込みました。理由は中国スマホの技術が劇的に向上し、スマホ市場もiphoneとギャラクシー占領時代が終わったからです。

 韓国ロッテグループは、中国各地でデパート、スーパー事業を展開していましたが、今月、中国・成都のデパート売却を決定したことで、中国の最後の店舗がなくなることになりました。30年の間の栄枯盛衰は今や明白な状態で、経済優先で突き進んできた韓中関係は岐路に立たされています。

 無論、最も大きな原因は中国の目覚ましい成長とともに習近平政権の妥協なき権力の集中と強烈な覇権主義にあり、経済のために他のことには目をつむる時代は過ぎ去りました。結果、経済関係を深めながら、一方で中国の嫌がることをする国に対して、事業基盤の脆弱な企業は排斥されています。

 特に軍事面で2017年に韓国が米軍の最新鋭迎撃システム、高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に動いたことに対して、自国への直接の脅威と受け止めた中国は今でも不快感を露わにしています。それも配備用地をロッテが提供したことで、中国国内で不買運動や当局による衛生・安全検査にこじつけた営業停止を迫り、結果的に完全撤退に追いやられました。

 実は韓国企業は中国企業と似て、日本と欧米から高度の技術を盗み、部品をかき集めて国際競争力のある製品を市場に送り込み、急成長した経緯があります。両国ともにオリジナリティは薄く、中国にしてみれば韓国企業誘致のメリットは、他の先進国の企業ほどでなくなったともいえます。

 韓流ドラマやKポップで韓中関係は、今でも繋がってはいますが、実は最新の世論調査では韓国人の約8割が中国に否定的なイメージを持ち、若者に至っては9割が嫌っているという数字もあります。国交正常化30年で両国関係は1時的に盛り上がったものの、今は冷え込んでいる状況です。

 今でこそ韓国と中国は同等のように扱われていますが、李氏朝鮮500年間は、朝鮮半島は中国の属国でした。この属国時代に叩き込まれた中華思想により、中国に隷属する周辺国の中では位が高く、北京から距離の遠い日本の方が位の低い蛮国という意識がDNAに刻まれたと思われます。

 その結果、経済力ではなく、中華思想の観点から蛮国の日本に朝鮮半島が併合された歴史ほど屈辱的歴史はなく、その日本は恐れ多くも朝鮮より格の上な満州も支配した不遜な国という見方を朝鮮人は持っていると思われます。

 朴槿恵元大統領も中国詣でを優先し、習近平という皇帝に参拝しました。そこから日韓関係は一挙に冷え込み文在寅政権でとどめが刺された形です。今、尹錫悦新政権のもとで、その日韓関係の修復を目指していますが、尹錫悦氏は、文在寅前政権の露骨な司法操作で徴用工賠償問題で日本企業の資産の現金化という爆弾の処理に追われている状態です。

 対中国で高級家電などのイメージで韓国製品が売れた時代が終焉を迎えようとする今、韓国は最大の貿易相手国である中国との関係がギクシャクするだけでなく、こじれてしまった日韓関係の修復でも、いつ徴用工の爆弾が爆発するか分からない状況です。

 そんな難問を抱える尹政権そのものが国民に不人気となると、韓国の行く末は容易でないことが見てとれます。韓国では世代によって中国を恐れる高齢者と恐れない若者世代に分かれるといわれていますが、徹底した反日教育を70年に渡り行ってきたことで全世代に反日感情があるのも事実です。

 ただ、地政学的に困難な歴史を経験してきた韓国は、日本の常識では計れない生き延びる知恵と強靭な精神も持っているのと、半導体を含め、世界市場で必要とされる製品を作り続けている以上、この難局も乗り切っていく可能性は高いと私は見ています。

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