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 終わらないコロナ禍、ウクライナ紛争による経済とエネルギー危機、民主主義陣営と権威主義陣営の対立激化など、投資家が嫌う不確実な状況が長期化しています。当然ながら世界は不安のネガティブガスが充満し、嫌な空気が漂う中、2022年も終わりを迎えました。

 最大の原因は、この不安要因の何一つとっても、個人の力ではどうすることもできないことです。通常、アンガーマネジメントなどでいわれる自分で何とかできることと、そうでないものを切り分ける作業が必要ですが、どうやら自分なりに解決できるものは多くはなさそうです。

 国民性を数値化したホフステッドの指標では、日本人は不確かな状況に強いストレスを感じる傾向があるとされています。程度は異なりますが、ドイツ人も同様な不安やストレスを感じるといわれ、旅行の準備などで万全を期す点などで共通点があります。

 ドイツが未だに重厚長大産業への依存度が高いのは、その産業構造の安定性です。日本同様、職人文化(ギルド)も存在し、給料が多少安くても安定を求める点で日本人に似ています。フランス人も公務員になりたがるとか、学歴にこだわるのは安定志向だからといわれています。

 一方、それとはま逆なのが米英中です。彼らは不確実な状況に日本人やドイツ人、フランス人のように極度に不安を感じないといわれています。日本人が旅行で万全の準備をしようとするのとは対照的で、世界1のワールドトラベラーといわれる英国人は準備をしないことで知られています。

 海外の滞在先のホテルのカウンターで「今日は、ここで面白そうなところはあるか」などと聞いているのは、大概が英国人かアメリカ人です。中国人はグループツアーが多いので、そんな風景はあまり見かけませんが、不確かな状況に強いのは今の時代には強みです。

 では、不確かな状況に極度の不安やストレス、恐怖を感じる場合の対処法は何かといえば、柔軟性です。海外赴任で赴任鬱に陥る人の多くは固定観念の強い人です。自分に自信があるという言い方ができる一方、異文化でその自信がそのまま通用する例は多くはありません。

 某日系大手自動車部品メーカーで長年、実績を積んできた人が、インドネシアの支社長で赴任し、2週間でやれなくなり引き揚げてきた例もあります。その人物と話して分かったことは、日本人への指導力は卓越しているのですが、文化の異なる人々に通じないことで極度のストレスを感じ、自分には無理だという結論を出したことが分かりました。

 自身と確信を持つことは重要ですが、それが限定された環境のみで通用するとなれば問題です。やってはいけないことは自分の常識を相手に当てはめる行為です。正解はまず、よく人の話に耳を傾け、相手を尊重し、その人に合った仕事のやり方を見つけてあげることです。

 島国の日本では常識の幅が狭く、本能的に自分の常識が相手にも当てはめられると考えてしまう傾向があります。「自分はこの状況で必死に努力するのは当たり前なのに、どうして彼はそうならないのか」と考えてしまうことです。

 案外、解決法は相手をどうするかではなく、自分の中にある固定観念に柔軟性を持たせることにある場合も多いといえます。無論、それで自分を追い込むのも逆効果ですが。

 さらに考え方、発想、働き方の違いなどをポジティブに生かすことが求められる時代、出口が見つからない時に試すことの一つは固定化された常識を離れ、ゼロベースで物事を考え直すことです。ダイバーシティ効果として重視されていることで、今は特に従来の常識を離れた発想が力を発揮する時代です。

 アメリカ人が試練に強いのは、無論、歴史が浅いのでこだわる過去がないという側面もある一方、持ち前の独立心と開拓精神から、困難な状況にあっても必ず解決の道があると考えるからです。そもそもヨーロッパの歴史の重みに耐えかねて大西洋を渡り、西へ西へと大陸を開拓してきた人たちですから、試練や苦労は織り込み済みです。

 開拓は不確かな状況とリスクの山であり、その向こうに神が約束した地が準備されているという精神が根付いています。だから失敗にめげたりしません。何度でも人生はやり直せると思っています。英国も地球の裏側まで出かけ、大英帝国を築いた過去があります。

 つまり、不確かな状況に対してポジティブな精神を保ち続けることができる強みがあります。農耕民族の血を引く日本人、フランス人、ドイツ人は米英とは違い、特に日本は島国で移動が制限されていることで、開拓精神に乏しく、異端や失敗者を差別する傾向もあるのが弱みです。

 多分、2023年もさらに不確かな状況が続く可能性は高く、不安も広がるかもしれません。しかし、柔軟性やゼロベース思考、人生何とかなるというポジティブ思考を持つことが重要でしょう。私もそうありたいと思っています。