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 国連教育科学文化機関ユネスコのパリ本部で5月29日から開催されていたプラスチック汚染対策の国際条約の5日間の交渉も6月2日が最終日です。プラスチック汚染に対する世界条約の交渉が5月31日から本格的議論に入り、2024年末までに法的拘束力のある条約を作成することを目的とした5回の交渉セッションが行われました。

 サウジアラビアといくつかの湾岸諸国、プラスチックの原料となる化石燃料の生産国、さらにはロシア、中国、インド、ブラジルは最終的に合意が見つからなかった場合、将来の条約が3分の2の多数決で承認されることを拒否しています。

 6月2日までの議論は各国が2つのグループに分かれ、非公開で議論が行われ、すでに何度も意見対立で緊張する場面があったと報告されています。この種の会議は、さまざまな利権が交錯し、特にプラスチックに関しては、原料生産国、プラスチック生産国、消費国は巨額の利益を得ているため、抵抗も激しいといえます。

 地元フランスのマクロン大統領はプラスチックの生産と消費の「グローバル化された持続不可能なモデルの終焉」を同会議参加者にビデオメッセージで強く呼びかけました。地元紙のインタビューに答えたベシュ仏生態移行相は「海洋汚染の85%はプラスチック」と警鐘を鳴らしました。

 マクロン氏は「主な対策目的は、新たなプラスチックの生産を減らし、使い捨てプラスチックなど最も汚染の多い製品や健康に最も危険な製品をできるだけ早く禁止すること」「世界中でリサイクルされているプラスチックは、わずか15%」と述べ、合意を急ぐ必要性を強調しました。

 同会議を報じる仏メディアは、プラスチックの原料供給国は条約交渉に後ろ向きだが、劣勢に立たされていると指摘しています。一方、交渉に参加する55カ国の連合は、特定の有害化学物質の制限及び、リサイクルが不可能で自然に放置され問題を引き起こしているプラスチック製品の禁止を含む強力な条約の合意をめざしています。

 2060年までにプラスチック廃棄物は3倍に増加するとの予想も示されています。エコノミスト・インパクトが2021年に実施した資源の最適な生産と活用の推進につなげることを目的とする世界25カ国を対象とした初めての調査で、ドイツが1位、日本は2位という結果が出ています。

 調査は「科学的根拠を軸にした海洋課題の解決」を目指す国際的な海洋環境イニシアティブ「Back to Blue」が実施しました。各国のプラスチックのライフサイクル全体を視野に入れた取り組みを、政策や規制、企業や消費者の行動や価値観といった観点からのプラスチック管理指数では裕福な国に高い指数が集中しています。

 世界のプラスチック生産量の半分を占めるアジアは遅れをとっていることが明らかになりました。プラスチック汚染対策に取り組む上で、国民の健康度や幸福度、教育水準や平等度が取り組みに大きな影響を与える、という見方も示され、結果として貧しい国の指数は低い結果です。

 しかし、処理できないプラスチックごみが裕福な国からアフリカなどの貧しい国に押し付けられている現実こそ無視できないものがあります。先に産業化した先進国が温暖化ガスと同様、プラスチックごみを途上国に押し付けてきた現実を変えるため、途上国への巨額投資が必要です。

 いずれにせよ、海洋汚染は連帯罪、内向き志向では問題解決はできない問題です。日本が資源活用優等国というなら、ドイツと共に国際協力の先頭に立つべきでしょう。