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 ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は10日、別の独立系メディアなどと共同してウクライナ侵攻後のロシア軍の死者数について、報道や当局の死亡記録などを様々なソースを基に独自調査した結果、およそ4万7000人に上るとする推計を発表しました。

 これはソ連時代におよそ10年間続いたアフガニスタン侵攻の3倍、ロシアになってからのチェチェン紛争の9倍の死者数に上るということです。

 米当局者の声明によると、今年3月にポリティコが報じたロシアとの戦争でウクライナ軍兵士10万人以上が死亡したとされ、オンラインに投稿された大量の米国諜報文書とされるものによると、35万4,000人ものロシアとウクライナの兵士が死傷したとの数字もあります。

 ウクライナ軍には外国人も多く参加しており、例えば有名な軍事専門家が知名度を生かして資金や物資をフランスで集めてはウクライナの前線に定期的に運んでいる姿がテレビで紹介されました。特にこの人物は前線で戦うフランス人を支援しており、戦況もリアルタイムで入手できています。

 彼の活動を通して、なぜ、普通の生活をしていたフランス人がウクライナ紛争に加わったかが見えてきます。1人のフランス人の20代の若者は、ロシアがウクライナから1万人を超える子供たちを連れ去ったことで、いてもたってもいられず、1年以上前に戦闘に加わったと言っていました。

 その人物は他のフランス人の同僚と東部の最前線で戦っており、その同僚はロシアの砲撃で最近亡くなったそうです。そんなことを何度経験しても帰国しようと思ったことはないそうです。

 ロシアの侵攻以来、ウクライナのゼレンスキー大統領の義勇戦闘員募集に応じた何千人もの人々が、ウクライナの戦争に外国人兵士として参加しています。その数は1,000人から3,000人といわれ、民主主義を守るために行く者もいれば、自らの出口のない環境から逃れるために行く者のいます。

 私は、この10年、フランスやベルギーからシリア・イラクの戦争地域にイスラム国(IS)の戦闘員として向かうアラブ系移民の若者を見てきました。彼らはそれまで戦闘のテレビゲームで興じてきたのが、本物の武器を持ち、人を具体的に殺害できることに興奮を感じたといわれています。

 そんなリアル感を得たいためにウクライナの前線に加わる外国人兵士がいるかどうかはわかりませんし、自由と民主主義を守る聖戦という意味合いがどこまであるのかもわかりません。ただ、取材に応じるウクライナの多くの外国人戦闘員の動機は純粋です。

 彼らにウクライナに感謝してほしいなどという動機は見当たりません。ある程度の報酬はあるのでしょうが、正義感がそれを上回っています。無論、戦争そのものに正当性はないのも事実ですが、武力侵攻されて国を守るための戦闘には一定の正当性はあるでしょう。

 欧米の場合は、窮地に追い込まれた人間を支援する人道支援のボランティア精神が息づいています。外国人戦闘員もその延長線上にあるといえます。イエス・キリストは「汝、友のために死ねるか」といった究極の精神が今でも息づいているのかもしれません。