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 年間約700万人が訪れるフランスの首都パリの象徴的な観光スポット、エッフェル塔で12日、爆弾を仕掛けたとの予告があり、来訪者約4000人が1時非難する事態が発生しました。エッフェル塔は数時間にわたって閉鎖され、結局爆弾は見つからなかったと警察当局は明らかにし、入場が再開されました。

 当局によれば、地雷処理班も出動し、徹底的な捜索が行われたそうです。過去に何度か爆弾予告があったエッフェル塔の南の柱部分の下には警察署があり、敷地内は監視ビデオで監視されています。観光客には入場前の保安検査が厳しく義務づけられています。

 そこで思い出すのは9・11米同時多発テロの時に、パリでもアメリカ大使館とエッフェル塔に爆弾を積んだヘリが突っ込むテロが計画されていたこと、さらに2013年に同様な爆弾予告があり、その後、2015年1月に風刺週刊紙シャリル・エブドー編集部襲撃テロ、同年11月にバタクラン劇場などで同時テロが起き、フランス史上最大規模の300人以上が犠牲になるテロが発生しました。

 治安分析官を務めていた私は2015年の大規模テロを予告し、その根拠の一つがエッフェル塔爆弾予告だったことを鮮明に覚えています。大規模テロが起きる時は数年間にいくつかの予兆を示す事件が起きるもので、今回も来年夏にパリ五輪を控え、そんな予兆の始まりかと不吉な予感がしています。

 2015年以降、フランス政府は長期にわたる非常事態宣言を出し、何度かのテロ対策法の改正を行い、組織も再編して、治安対策を強化してきました。過激派組織イスラム国(IS)によるシリア・イラク紛争が1段落し、コロナ禍もあってフランスでのテロは一見静まり返っていますが懸念はあります。

 コロナ禍で人の活動が自由になり、同時にテロ準備の地下活動も活発化していると見られています。さらにアフリカのマリでの過激派掃討作戦を機に、ニジェール、セネガルなどフランスの旧植民地で反フランスの機運が高まり、フランス本土への攻撃も懸念されています。

 フランスには社会の底辺に追いやられたフランスに敵意を抱く貧困移民社会が広がり、2世3世がテロリスト予備軍となっており、最近は人身売買、麻薬密売が活発化し、テロの資金に流れていることが懸念されています。また、今年はパリ西郊外ナンテールで交通検問を拒否したアルジェリア系の若者が警官によって殺害される事件もありました。

 パリ五輪の準備で警備体制への懸念は消えておらず、大量に雇う警備員の中にテロリストが紛れ込むことも十分考えられます。すでに2019年にはパリ警視庁本部で働いていた職員がイスラム過激思想に染まり、同僚の職員4人を職場で殺害する事件も起きており、危険はあちこちにあります。

 今回のテロ予告も、テロ組織が偽の予告を流し、当局がどう動くかを見極めようとしているとの見方もあります。テロ組織は20年前からグローバル化し、目的達成のために彼らの主張にインパクトを与えるために世界的注目度の高い施設が標的になるとされています。

 その意味でエッフェル塔は他にはないインパクトを与えるのは必至と思われ、警戒態勢を強化しているわけです。コロナ明けで外国人観光客は戻りつつあり、今後、中国の団体旅行解禁で一気に増加が予想されています。世界1の外国人観光客を集めるフランスですが、緊張も高まっています。