climate-change-g07132de01_1280

 今年の夏の北半球は、熱波による猛暑、干ばつ、山火事が各地で発生し、大きな被害が発生している一方で、豪雨による洪水被害で家やインフラが崩壊する事態に発展しました。メディアは口を揃えて原因は増え続ける温室効果ガス排出による地球温暖化現象と報じています。

 しかし、そうであるなら、CO2最大の排出国である中国が途上国として認められ、先進国の2050年までのカーボンニュートラルの目標期限が2070年に設定されている現実は素人が考えても妙です。世界第2位の経済大国だと豪語し、一帯一路の莫大な資金を投入する国が途上国というのは合点がいかない話です。

 CO2排出量が世界で2番目のアメリカの2倍を排出する国を野放しにする理屈は、経済発展に化石燃料は不可欠ということですが、世界にとってその恩恵の方が地球へのダメージを上回るという論理は成り立つのでしょうか。中国に先進国同様の目標を課したら、14億の中国人が急に飢え、世界経済は傾くというのでしょうか。

 一方、中国の半分のCO2を排出する石油産油国のアメリカでは、長い間、地球温暖化理論が科学者によって否定され、本腰を入れた取り組みは足踏みしてきました。CO2削減推進派は、リベラル左派の民主党議員が中心で、彼らの理屈は環境活動を隠れ蓑に不人気の左翼思想を浸透させるための道具と見られてきました。

 逆に保守勢力は、温暖化対策より、その裏に潜む左翼リベラルのイデオロギーへの警戒感から、国連が進める温暖化対策には後ろ向きで、左派からは経済優先の金の亡者のような烙印を押され、彼らのキャンセリングカルチャーの標的になっています。

 イデオロギーに無関心な日本企業は、彼らのビジネスを妨げなければ温暖化対策に抵抗しない一方、左翼の正体である大企業や富裕層、政治的、社会的権力者への批判が頭をもたげれば抵抗するのが今の現状でしょう。ビジネスは現実しかなく、観念的で利益にまったく繋がらない理論に関心はありません。

 日本の大企業に対するSDGsの研修を担当してきた感触として、いまいち彼らの原落ちが悪いのは、このイデオロギー問題が影を差しているのも1因です。企業にとって社会的評価は重要なので、掛け声としては企業理念やヴィジョンに掲げていますが、現実の社会の風を読んでいる段階です。

 私個人はSDGsは正しい進化を遂げ、その対象範囲は広範に及んでいますが、左派のイデオロギーが巧妙に侵入している匂いも感じます。何とか世界が自分たちが望む方向に進むように仕掛けられた罠もあるということです。

 科学は科学者の良心に従って、様々なテクノロジーを生み出し、代替えエネルギーへのスイッチ切り替えが進んでいますが、そのテクノロジーの悪用もされています。

 中国はソーラーパネルを安価で大量生産し、輸出していますが、ドイツではそのためにドイツメーカーが次々に倒産し、フランスでは不良品で個人宅に被害が広がっています。

 自国の温暖化対策より、自国製品の輸出に熱を入れる中国は、結果的に大量の温暖化ガスを排出しながら代替えエネルギーの機器を生産し、輸出する矛盾を抱えています。中国が世界の工場であり続けるだけで、CO2の排出を中国から減らすことは不可能なことが分かります。

 中国を途上国に留め置いた方が、安価な生産コストで競争力を得ている先進国企業には都合がいいのでしょうが、結果的には地球温暖化は止まらないということになります。

 そういった自己矛盾を抱える企業がSDGsに消極的なことは理解できますが、それでは年々進む深刻な地球温暖化を止めることはできないという結論に達するでしょう。ただ、できることから始めることもSDGsには重要です。また、温暖化対策に貢献するテクノロジーを生み出すことも重要でしょう。

 さらにはSDGsに忍び寄る資本主義や自由貿易を否定するイデオロギーの侵入を警戒することも重要で、耳障りのいいコンテクストには常に偽善が潜んでいることも注意すべきでしょう。