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 リビアを襲ったメディケーン(地中海で発生するハリケーン)による大洪水で、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)によると、確認されている死者はすでに5,000人を超え、1万人以上が行方不明になっていると報道されています。モロッコの大地震に次ぐ大規模な自然災害です。

 両者ともに前代未聞の経験したことのない想定外の災害で、なんの備えもない中で起きたため、その被害は甚大です。モロッコは今回の規模の地震は歴史的に経験したことがなく、リビアも合意による洪水はまったく想定されていませんでした。

 リビアの悲劇は気候変動による温暖化が強力なハリケーンを生んだと指摘されていますが、最初に襲われたのは地中海対岸のギリシャでした。ギリシャもリビアほどではないにしろ、洪水への備えはぜい弱です。今後も地球温暖化が進めば、山火事と大洪水は止むことがないと予想されています。

 砂漠化が進む北アフリカは、ますます、人が住みにくくなっています。今回地震が直撃したモロッコのマラケシュ周辺では、この30年間だけでも干ばつが進み、緑に覆われていた丘は砂漠化し、農業や牧畜業を営めなくなった住民が都市に職を求めて移動している状況です。

 アフリカは最も砂漠 化 の危機 に瀕した大陸で、全面積 の約34%が 砂漠 化の脅威にさらされているといわれています。農耕地 ・草地の砂漠化率は80%ともいわれ、特に北アフリカ・マグレブ諸国は深刻です。モロッコも例外ではなく、過 去50年間 に農地 ・放牧地は砂漠に転じています。

 しかし、砂漠化は残念ながら、干ばつのような気候的影響だけでなく、土地管理 など人為的要因が拍車をかけているといわれています。そもそもア フ リカの土地は環境的に脅威人ではなく慎重な管理が必要とされていますが、管理する技術もなく、度重なる内戦などの人災が重なっています。

 最近、モロッコは政治的に安定していることから、ビジネスで世界的注目を集めていましたが、一方で最も砂漠化が進むマグレブの国の一つです。そこに襲った大地震はモロッコの将来を暗くしています。

 リビアは2つの政権が対立する国としての統治ができていない国で、そこに想定外の洪水が発生し、なすすべもない状態です。本来、マグレブはアフリカで最もヨーロッパに近いわけで、ヨーロッパからの支援が望まれるところですが、マグレブにとっては、例えば旧宗主国フランスとの関係が悪く、モロッコは救援部隊も拒否しています。

 ただ、いずれ今回の自然災害で生活できなくなったマグレブの人々が、ヨーロッパに難民として流れてくることは必至です。ところが今、フランスはイスラム圏からの渡航ビザを制限しており、不法移民が急増することも懸念されています。

 実はイスラム教が勢力を持つ国は砂漠化している国が多く、例えばアフガニスタンも殺害された医師の故中村哲さんが取り組んでいたのが灌漑事業です。アフリカも全く同様で、一方で痩せた砂漠化した土地と闘いながら、リビアで起きた大洪水は新たな試練も生み出しています。

 貧困が進む弊害はイスラム過激派の拡散にも繋がり、各地でクーデターが起きる事態に発展し、ますます出口が見えない状況です。そのため、自然災害に強い建物やインフラ整備、土地の改良、灌漑などは国連規模で取り組む大規模な復興事業が求められています。