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 今月20日から、即位後初となるフランス公式訪問の日程をこなす英国王チャールズ3世は21日午前中、仏上院議事堂で上下両院議員約300名を前にスピーチを行いました。同国王は自由と民主主義の価値観を死守するための団結を訴え、ウクライナの勝利を強く支持しました。

 さらに、国王が最も力を入れる気候変動対策を訴え、スピーチに対して、スタンディングオベーションを受けました。

 今回のフランス訪問でもチャールズ国王はライフワークの環境活動家としての顔を見せ、訪問最終日にはボルドーを訪問し、昨年の熱波による大規模な森林火災を受け、気候変動による森林の研究を行っているフロワラックの実験林訪問が最終日に組み込まれました。

 英国で注目されたのは、環境活動家の国王が訪問先で、最近、スナク英シュシュが発表したガソリン車製造販売を2030年までに停止する期限を2035年に延長した政策について何を述べるかでしたが、外交の場では政治的中立を守る国王は政権批判はしませんでした。

 さらに母、エルザベス前女王がどれほどフランスを愛していたかにも触れ、過去の100年戦争を戦った仏英関係は女王の親仏姿勢が両国の良好な関係維持発展にいかに貢献したかを印象付けました。

 英国はブレグジットで小国になったように見えますが、チャールズ国王はコモン・ウエルス(通称、英連邦)56か国の上に今でも君臨しており、その人口は約26億人で世界の4分の1の人口を占めています。英国の世界に与える影響は今でも強く、その象徴的統治者がチャールズ3世国王です。

  最近、5人のロシアのスパイ容疑者が英国で起訴され、それ以前にもスパイの逮捕が続きました。英国は対ロシア強硬派というだけでなく、世界に影響力を与えている国とロシアは考えているということです。

 最近、英政府は世界の先進国に先駆けてロシアの民間軍事会社ワグネルをテロ組織に認定しました。対ロシア外交で弱腰なバイデン氏に代わり、ウクライナ支援で影響力を発揮しているのは英国です。議会制民主主義を世界に先駆けて確立した英国には、自由と民主主義を守る主張に説得力があります。

 君臨すれども統治せずの英君主ですが、とかく母親と比べられるチャールズ国王は、ダイアナ元妃を差し置き、浮気に走る貞操感のない人物と国外では思われがちです。しかし、皇太子時代から地味な人道支援活動を継続してきたことは国内では広く知られています。

 特に貧困に苦しむ若者支援では成果を出しています。そのため、若者層に一定の支持者がいるのは確かといわれています。

 上院議場でのスピーチで、第2次世界大戦で仏英が一体となって対ナチス・ドイツ戦争で戦ったことを引き合いに出し、ウクライナ紛争で不安定化するヨーロッパで両国が協力して戦い、勝利することを訴えたことは、フランスの国会議員たちの心に響いたように見えました。