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 元首相の安倍氏は、歴代首相で最も外遊した国の指導者と言われています。外務省のホームページを見ると2006年10月から2023年9月までの歴代総理の外国訪問回数では81回と断トツです。ところが流ちょうに英語を話すわけでもなく、異文化理解の深さも疑問が残ります。

 一国を率いる政治家ですから、国際会議などでプレゼンスを高めるために努力していたことは認めます。後ろに外務省がいてアドバイスもしてきたのでしょう。すでに本人が他界しているので理由は分かりませんが、主要7か国首脳会議(G7)という首相にとって最重要な会議の服装には違和感がありました。

 持ち前の明るさや好感度の高さで問題視はされませんでしたが、トレードマークのように明るめのブルーのスーツを毎回着ていました。国際会議の常識的ドレスコードは、ダークスーツと相場が決まっています。理由は服装で虚勢を張って相手を威嚇しないためです。ビジネスの世界も同じです。

 このルールは、様々な説がありますが、アングロサクソンが決めたという節も有力です。時には開催国の民族衣装を着て、リラックスした雰囲気を演出することもありますが、正式な会議の場はダークスーツが基本です。G7で最も古株な安倍氏がそれに従わない理由は様々考えられます。

 かつて首相だった中曽根氏はG7の記念撮影で当時のレーガン米大統領の横に割り込んで立ったのが映像に残っています。周囲の空気を読みながら、全体の流れに従うことが最も得意な日本人は、野心をむき出しにするのはみっともないと考えるので、いつも端っこに立っていました。

 フランスのシラク氏は大統領時代のG7で、ダークスーツは守りながらも、三つボタンスーツを着ていたことがあります。これも結構目立っていましたが、フランスの大統領が国際会議で末席に立つことはほとんどありません。

 トランプ氏は大統領として北大西洋条約機構(NATO)の本部を首脳会議でい訪れた時、参加していた首脳を押しのけて先頭を歩いたのは印象的でした。最も巨額の負担をしている米国の首脳が新米扱いを受けたからなのか、他の首脳が距離を起きたかったからなのか、リスペクトする雰囲気出なかったのは確かです。アメリカを最も偉大な国と主張する当人は不快に感じる態度でした。

 東洋人はその風貌からも存在感が薄いのが現状です。安倍氏のように人並外れた交換を持たれるタイプなら、別に明るいブルーのスーツを着なくても存在感はあったと思いますが、日本の政治家は通常、地味で目立つことさえ、出る杭は打たれろで、控かえ目に姿勢が評価される傾向があります。

 無論、場慣れというのも大きいでしょう。場慣れしていない大国の政治家といえば、最近、中国訪問したチャック・シューマー上院院内総務は最近、習近平国家主席はじめ、共産党幹部と会った際の映像で、アメリカ人らしくなくペコペコ頭を下げていました。

 アジアに行けば皆頭をペコペコ下げるとの思い込みがあったのかもしれませんが、たぶん、日本の影響でしょう。中国人は頭をペコペコ下げる人間をみると卑屈に感じ、相手に服従する姿勢と受け止めるので、中国人はビジネス交渉でも容易に頭は下げません。

 中国人の交渉スタイルの基本は「上」からです。堂々としていることはいいことだとの考えです。シューマー氏は民主党の議員で超内向きで、国外で場数を踏んでいません。アメリカが世界の中心で国外への関心は皆無に近いため、頭をペコペコするステレオタイプのアジア人対応を取ってしまったのでしょう。

 グローバルビジネスや政治外交の目的は成果を出すことですが、基本は信頼関係の構築です。短い数分の会見で相手に不必要なストレスを与えず、一気に人間関係を気づくことが重要です。第一印象9割とも言われる相手への理解は、異文化でも同じです。

 これは技術だけに頼るものではないのも事実ですが、アジアの中でも集団の中で個が埋もれることを良しとするハイコンテクストの日本の精神文化で育った日本人には、プレゼンスを高めるための努力が必要です。