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 今、注目を浴びるイスラエルの過去の筆者の取材で政府関係者から聞いた話ですが、ナチスドイツによるユダヤ人迫害を経て、パレスチナの激しい抵抗に遭いながら、1948年に建国が実現した当時、世界から押し寄せたユダヤ人たちが、想像以上に世俗化していたため、政府はユダヤ教教育に力を入れたという話を聞きました。

 EUでは、何かと欧州委員会の方針に反対するハンガリーやポーランドは、EU加盟以来、西側諸国のリベラル思想が流入することを極端に警戒しています。リベラル思想とは伝統的なキリスト教の価値観に従った家父長制度、家族の価値観、LGBT禁止などです。

 フランスでは500万人を超えるイスラム教徒の大半が穏健派ですが、聖戦主義過激派は時として、同じ仲間のはずのムスリムを標的にしたテロを行っています。聖戦主義者から見れば西洋の堕落した文化(リベラルな文化)に毒され、伝統価値を守らない許しがたい存在と映るからです。

 最近、国民の中国共産党に対する忠誠心を強化する中国で、日本を含む外国企業のビジネスマンの渡航を控える動きが高まっています。理由は、幹部拘束や尋問も相次ぎ、中国からの出国を禁じられる例も増えているからです。外国企業誘致に力を入れながら、中国進出とともに共産党に合わない文化や思想が流入しないか警戒しています。

 日本も、もし大量の外国企業が進出すると同時にリベラルなアメリカ人が流入することで、アメリカが抱えるドラッグや様々な犯罪が急増することが懸念されます。新型コロナウイルス対策でマスク着用を呼びかけた程度で国民が従順に従った日本ですが、外国人が増えれば、欧米や東南アジアのように厳しい罰則を違反者に課すことになるかもしれません。

 同性愛が禁じられ、女性の自由が制限されているロシアでは、過激なフェミニスト運動を展開するグループが逮捕されたりしています。昨年のカタールでのサッカーのW杯では、同性愛者の入国を含むイスラムの戒律が問題視されました。

 一方でグローバル化とともに多国間主義が広がり、一見、世界はいい方向に向かっているように見られたグローバル化された世界は、実は各国が自分の国の価値観が危機に晒され、アメリカはトランプ時代に保身に走りました。グローバル化を推進したリベラル派は厳しい局面に立たされ、トランプ批判に集中しました。

 ビジネス活動と国の関係は、コロナ禍後の開放に向かう世界でも回答は見えていません。

 例えばジャニー喜多川氏の性加害問題も、敗戦後のアメリカスタイルのエンターテイメントが日本に大量流入する中、まさか欧米に比べ日本で超マイノリティーの小児性愛(ペドフィリア)が喜多川氏によって持ち込まれたことには絶句します。

 欧米社会で学校への保護者の送り迎えが義務化されている背景に小児性愛者の児童ポルノなどのために誘拐事件が多いことが前提になっています。日本では考えられないことでしたが、喜多川氏は戦後、アメリカ人在住者が住んだ代々木のワシントンハイツの住人でそこで、米兵から悪い影響を受けた可能性もあります。

 喜多川氏が戦後の混乱の中で、アメリカ兵から受けた倒錯した性行為の小児性愛を覚えた可能性は高いと見られ、最初はその被害者だったのかもしれません。喜多川氏はジャニーズのメンバーに年齢の上下などに関係なく、「君」で呼ばせました。これもアメリカのファーストネームで呼び合う文化そのものだったわけです。

 自由と平等を標榜するアメリカの文化はポジティブなものだけではありません。ジャニー喜多川氏はアメリカのエンターテイメントだけでなく、ショービジネスに巣くう恐ろしいほど汚れた慣習も同時に持ち込み、自ら実践したという見方もありうるでしょう。

 異文化の需要な新しい価値創造に欠かせないものですが、同時に社会秩序を乱す悪いものも流入するのが常です。どの国もグローバル化が進む中、伝統的価値を守る力とそれを破壊し、変化をもたらす力の中での葛藤が続いているように見えます。