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パリレ・ピュブリック広場で2023年10月22日に行われたガザのパレスチナ人支援集会に15,000人集まる。仏パリジアン紙LP/Philippe de Poulpiquet

 2015年1月、フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブド編集部が過激派のテロリストに襲撃され、その年の11月にはパリのバタクラン劇場など数か所で同時テロが起き、史上最大規模の300人以上が犠牲になるテロが発生しました。実はその年は小規模テロが10回以上起きていました。

 その前年、イスラエル軍の大規模なパレスチナへの軍事進攻が行われ、ガザ住民2,200人が犠牲となったことが、イスラム教のスカーフ着用を禁じ、在仏イスラム教徒の差別的政策を行うフランスがテロの標的となったとも言われています。

 2014年秋以降、エッフェル塔の匿名の爆弾予告など、今フランスで起きていることが起きていました。イスラエル情勢悪化は、欧州最大の600万人のアラブ移民社会と約60万人のユダヤ社会を抱えるフランスを直撃しています。そのため、街中にはラグビーのW杯中ですが、警官と兵士を町中で見かけます。

 長年、テロに悩まされてきたフランスは、何度もテロ対策法を更新し、ヨーロッパ内の他国との情報共有を強化し、危険人物の監視を続けてきました。国土治安総局(DGSI)の要監視リスト、Sファイル登録者は5,273人、さらに外国人の場合は滞在許可が取り消され、国外退去が命じられています。

 今年、テロ過激化防止報告書ファイル(FSPRT)に登録された89人、2017年以降は795人が国外追放処分となっています。さらにテロで有罪判決を受けて刑務所に収監されている人は390人、2018年以降に472人が釈放され、2023年に75人、2024年に41人、2025年にさらに37人の新たな釈放が計画されています。

 これらの釈放者は監視の対象となり、多くの場合、疑いのある行動を確認した場合。再拘留措置が取られています。DGSI の人員は50%増強され、現在 5,000 人のエージェントを擁しており、最新の技術的な手段をさらに強化しながら、テロ計画段階からつぶしていく方針が取られています。

 学校では教師が特別な研修を受け、おかしな言動を取る生徒に対して聖戦主義が拡大していないか監視しています。貧困と差別に苦しむアラブ系移民の未成年者がネット上から聖戦主義に影響を受ける現象は、この20年、深刻化しています。

 しかし、2015年以降、聖戦主義拡大、テロ組織による勧誘などの阻止によるテロ掃討作戦だけでは成果が出ていないことも認め、そもそも社会が分断され、イスラム系、アラブ系への差別がテロリストを生む温床になっていることから多面的な取り組みが重視されています。

 例えば学校での落ちこぼれをなくすための大学生による学習サポートが行われたり、学校内で生徒の精神面のサポートを行ったり、さらには子供が聖戦主義の影響を受けていると感じる親の電話相談窓口を設置し、早い段階で過激化を食い止める努力を続けています。地域社会にも相談員が配置されています。

 無論、対策の即効性はなく、地道な活動の積み重ねが必要です。キーワードはコミュニケーションであり、移民に無関心な態度を取らないこと、互いにリスペクトする教育などの普及が重視されています。

 テロの事前察知からテロ組織の壊滅も重要ですが、フランスの場合は、国内でそれもフランス国籍者の間で聖戦主義が拡散し、テロが頻発する結果を生んでいるわけで、権力で抑え込むだけでは問題の根本的解決にはならないのが現状です。