1341650068_3f298d82a0_c

 イスラエル軍が完全に封鎖されたパレスチナ自治区ガザの地上侵攻を開始し、子供を含む多くの市民が無差別に殺害されている映像が世界を駆け巡る中、世界中でパレスチナ支持、反ユダヤ主義が広がっています。
 
 欧州最大のアラブ系住民600万人と60万人のユダヤ系住民を抱えるフランスでは、仏ユダヤ人団体協議会によれば、連日、キッパ(ユダヤ人男性が頭部に着用)姿の男性が路上で脅迫を受け、ユダヤ人学校、シナゴーグ、ユダヤ文化センターなどに匿名の爆弾予告が寄せられているといいます。

 パリ当局によると、フランスのテロ対策警察は電車の乗客を脅迫した後、全身ベールに包まれた非武装の女性を射殺したことを明らかにしました。現場はパリ東部の13区、フランソワ・ミッテラン図書館駅近くを走る高速電車(RER)車内で、女性は「アッラー・アクバル」(神は偉大なり)と叫び、女性が警察の命令に従うことを拒否したため、警察官は8回発砲したといいます。

 全身ブルカに覆われた女性は、自爆テロの可能性もあると判断し、警官は腹部を撃ったとされ、重傷を負った女性は病院に運ばれました。当局によれば女性は2021年にもテロ攻撃を防ぐために配置された治安部隊を脅迫した前科があり、事件後、精神衛生上の理由で強制収容されたとされます。

 フランスでは今月初め、北部アラスの高校で、チェチェン出身のその高校の卒業生の若者が、学校前で「アッラー・アクバル」と叫び、同校の教師を刺殺した事件が起きています。

 フランスでは、ベルサイユ宮殿、ルーブル美術館などの観光スポットのほか、学校、空港、病院などへの匿名の爆弾予告が次々にあり、400人以上の逮捕者を出しています。ほとんどが未成年でイスラエルによるガザ空爆に反発する若者の嘘の予告です。

 すでにパリ、ロンドン、ベルリン、ローマ、イスタンブール、アンマン、カイロなど、世界各地でイスラエルを非難する抗議デモが起きており、ダゲスタン共和国ではイスラエルから到着した旅客機を襲う襲撃事件も起きています。

 ハマスに約1400人のイスラエル人を殺害されたイスラエル政府は、一定の成果が得られるまで報復的正義を実行するのは確実です。今の流れはハマスが高度な戦略を駆使しているようには見えず、さりとてイスラエル側が戦争の終結に向かう明確な出口戦略を持っているとも見えない状況です。

 周辺国は自国内で反ユダヤ感情の高まりが限界に達し、テロが起きることは避けたいところで、国益に集中した損得の判断に集中しているように見えます。

 ただ、中東は原油の世界への供給元になっており、すでに原油価格の高騰が始まっています。イランが今回の戦争に何らかの関与をすれば、日本も石油の補給路が絶たれる可能性もあります。その意味では他山の火事とはいえないでしょう。