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 かつて中国は日本企業にも欧米企業にとっても大金を稼げる世界で最も魅力的に市場でした。ところが不動産大手、碧桂園や恒大集団の経営不振が象徴するように中国経済の減速が進む中、習近平政権は、ますます内向き政策を加速させており、世界のグローバル企業はリスク分散などに真剣に取り組んでいます。

 今年9月、ニューヨークタイムズのアレクサンドラ・スティーブンソン支局長は「中国はリスクに満ちている。では、なぜアメリカ企業は離脱できないのか」という記事を書きました。
中国はリスクに満ちている。では、なぜアメリカ企業は離脱できないのか?

 中国の今の状況は「心配事のリストは長い。西側企業に対する警察の強制捜査、高額な罰金、取引の破棄、データ転送の制限規制、広範囲にわたる対スパイ法により、ビジネスコストが増大している」と書きました。実際、中国赴任した外国人駐在員が帰国できない事態も起きています。

 それでも「18兆ドル規模の中国経済は危険をはらんでいるが、依然として無視することはできず、撤退も難しい。後退は、将来の世界的な競争相手に対して優位性を失うことを意味する可能性がある」と指摘しました。

 一方で世界第2位の経済大国を自負する中国に対して、単なる世界の工場や巨大市場という意味ではなく、国際社会に対してルールを守らせ、責任を増す状況を作り出すことが大国を暴走させない唯一の道という認識は共有されています。

 しかし、世界の現実はウクライナに侵攻したロシア、イスラエルのパレスチナ排斥戦争、中国の台湾進攻リスクなど、どれをとっても主権国家が他国や1部の自国民にプレッシャーを与え、ナショナリズムや民族主義に走っているのが現実です。

 その意味で、中国が世界が頼りにできる大国に変貌する可能性は、今のところ高くなく、むしろ露骨な社会主義拡散、覇権主義を前面に出し、世界の亀裂が深まる状況で、その本性を世界は見ています。「世界を支配する者が何でも思い通りにできる」という間違った認識が世界を危機に追いやっています。

 それに中国経済は世界と抜き差しならない関係を構築し、コロナ禍で見直されたサプライチェーン問題でも、中国抜きの変更は完全に無理な状態にあることは苛烈な競争にさらされるグローバル企業は皆知っています。

 米財界は米ウォールストリートジャーナル(WSJ)などの経済誌に「「中国での世界的な成功であり、米国の雇用拡大につながった」として、たとえ米中貿易戦争が激化しても、撤退の選択肢を考える外国企業は多くはないと指摘しています。

 ただ、政治的にはアメリカの対中政策は決してポジティブではなく、民主党も共和党も警戒感を強めている流れは変わりません。私個人は中国製品に対して厳しい規制をかける、良いものはいい、悪いものは悪いというアメリカ当局の姿勢は日本も見習うものが多いと考えています。