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 日本で開催された主要7か国(G7)の外相会議は、イスラエル・ハマス戦争に対して、戦闘休止の共同声明を出して閉幕しました。日本政府としては、当初、7か国の意見の相違から共同宣言は困難との見方があったため、先進7か国の一致した意見を世界に発信できたことに日本は高い満足を示しました。

 とはいえ、ウクライナ紛争同様、G7の影響力は高いとはいえず、昨今の紛争では存在は薄いのも確かです。ただ、もし、日本政府が中東和平に向け、仲介役として大きな役割を果たせば、存在感の低下が止まらない日本にとっては、一気に指導力が評価されるのは間違いないと思われます。

 では、果たして、東京で纏められたパレスチナ自治区ガザの民間人の退避のための戦闘休止は実現するのか、日本はそこで中心的役割を果たせるのか、また、日本の仲介に世界は期待しているのかは知っておきたいところです。安倍元首相が生きていたら、どんな指導力を発揮していたのかも気になるところです。

 今のイスラエル政府は、過去のいかなる時期よりも右傾化し、ユダヤ教超正統派に支配されており、ユダヤ教及びユダヤ民族主義によって、ガザ攻撃は正当化されています。ハマスが民間人を人間の盾としているとしても1万人を超える民間人犠牲者を出しても、ハマスせん滅のために攻撃を止めない状況をどう打開するのでしょうか。

 G7の中で、自国にユダヤ系、アラブ系住民が最も少ないのが日本です。つまり、イスラエルと同じような利権対立の構図がなく、日本は欧米が嫌うイランから大量の石油を買い続けており、G7の中では極めて特異な立場です。かつてはイラクの発展のために日系建設会社が大きな貢献を果たしました。

 サウジ発のアラブニュースの2019年の調査では、日本はイスラエル・ハマス戦争の調停者となる可能性があり、少なくとも、アラブ人の大多数がそれを望んでいるとの結果が出たと報じています。
 アラブ世界に住む人を対象にした同調査では、イスラエルとパレスチナ間の和平合意の実現に向けて最も中立的な調停者の名前を尋ねたところ、回答者の56%が日本を1位に挙げ、次いでEUが15%、ロシアが13%、米国は11%、英国は5%という結果でした。

 ところが欧米メディアは、今回東京でG7外相会議が開催され、共同宣言も出したにも関わらず、日本が調停者として最適と指摘する論調は、ほとんど見当たりません。むしろ、背景に日本がG7のメンバーであるにも関わらず、ユダヤ支持でないことへの不信感が漂っています。

 同調査を国籍別に見ると、ヨルダン人は仲介者として米国の支持が最も低く、中立的な仲介者と考えているのはわずか4%なのに対して、73%が日本を選び、圧倒的です。パレスチナ人もまた、リストの中で日本を上位に挙げており(50%)、次にパレスチナ人の27%がEUが良い仲介者になると答えました。

 専門家は「日本は常に交戦相手と等距離を保ってきた。アラブ世界との友好関係を維持しながら、パレスチナ人の権利とパレスチナ解放機構(PLO)を早い段階で認めた」ことを挙げています。

 さらに「日本はいずれにせよアラブ・イスラエル紛争に利害関係を持たないため、このような紛争では中立的な立場をとっている」「さらに、日本は中東から地理的に離れているため、紛争に対してより冷静なアプローチが可能」と指摘しています。

 ただ、海外での紛争に軍事的関りを一切持たない日本が、どんな外交を展開できるのか疑問は残ります。特に腕力の論理で動く中東で日本は調停役ができるのか、大いに疑問です。それよりグローバルサウスを含め、国際協調のまとめ役に徹した故安倍元首相の外交を踏襲すべきでしょう。

 ユダヤもアラブも世俗化が進んでおり、日本が欧米が指導して構築した国際ルールを踏襲しながらも、国際法にのっとった原則外交だけでなく、対立する2つの勢力の心を変える外交が必要です。理由は両者ともに国際ルールより、自分たちの論理が優先される傾向が強いからです。

 両者は超内向きですが、なんとか共有できる目標を見出し、孤立の道ではなく、和平こそが経済的繁栄の基礎という思想を定着させるための努力が必要でしょう。