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 世界も社会も、あらゆる局面で信頼関係が崩壊の危機に晒された2023年でした。世界のどこを見回しても問題解決力を持つ政治リーダーは見当たらず、首脳が何度集まっても戦争終結の道筋も見いだせていない状況です。先の見えない激動の時代に的確に対処できるビジネスリーダーの不足も懸念されています。

 第二次世界大戦や東西冷戦後に禁じられた武力で他国の領土を奪うルールを崩壊させたロシア、政府と異なる考え方を持つ民族などを自国民であるにも関わらず、武力攻撃するイスラエルやミヤンマー、アフリカ諸国の内戦の原因は何かを考える必要があります。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻を正当化するため、ナチに乗っ取られているといい、パレスチナ自治区ガザで大量虐殺を行うイスラエルへの批判でも、ナチと同じことをしていると批判する声が聞かれます。つまり、ナチスドイツを率いたヒトラーは悪人として定着しています。

 ところがヒトラーがドイツで頭角を現したのは、第1次大戦で敗北したドイツに課せられた多額の戦争賠償金の支払いに苦しむ時代に、高失業率にあえぐ国民に職を与え、強権外交で賠償金支払いを中止させた国民のヒーローでした。むしろ彼の失敗は国民の支持に陶酔し独裁化の道を歩んだからでしょう。

 ロシアもまた、世界を2分した米ソ対立の一国だったのに中国の台頭で屈辱を味わい、オバマ政権、バイデン政権の無関心の建前外交で孤立を深めたことから、ウクライナ侵攻を決断し、世界に存在感を示したともいえます。追い詰めたのは政治家だけでなく、経済関係者からもロシア経済を軽蔑する論調が相次いだことも大きかったでしょう。

 ロシア、中国、パレスチナ、イスラム勢力には追い詰められた孤立感や嫉妬心が戦争の起爆剤になる可能性があります。そこで考えさせられるのは、ルール違反を犯した者を制裁し、裁くという方法の有効性です。ヒトラーの時は賠償金を課した側である英仏伊などが優位に立つことはありませんでした。

 戦後処理のニュールンベルグ裁判で被告となったドイツ軍のリーダーたちは、裁判の不当性を訴え、強く抵抗しました。勝った方が負けた方を正義の名のもとに裁く正当性は東京裁判でも、未だに疑問視されています。加えて国連も国際刑事裁判所も機能しているとは言えません。

 人間にとって嫉妬は最大の脅威の一つです。犯罪学でも犯行動機のトップは嫉妬と言われ、人間が対立したり、犯罪に走る最大の原因です。愛を求めて生きている人間社会に嫉妬はつきものですが、嫉妬を動機として行動してしまうことで、いい結果を得ることはないでしょう。

 一般社会も同じで、働く職場でも嫉妬は渦巻いています。酒を飲んでガス抜きする場合のガスの正体も嫉妬です。しかし、事態が悪化すると酒では解決できません。

 今の時代は共感の時代と言われ、SNS上での評価が様々な世界で影響力を発揮しています。同時に嫉妬も渦巻いており、時にはSNS上の一言で相手を自殺に追い込んだりしています。たとえば、日本人駐在員が遭遇するナショナルスタッフの嫉妬は、会社に大きなダメージを与えます。

 そのため、相手に嫉妬心を抱かせない日頃からの注意が必要です。まずは共通の目標を持つことは極めて重要です。異文化でも共有する目標を持つことはダイバーシティマネジメントの第一歩です。異なった考えを持つ人間を無視すること、無関心は相手を追い込みます。

 関心を持てばコミュニケーションも増え、人間関係も深まり、常に相手を良い意味で評価し、感謝する姿勢がポジティブな関係構築には不可欠です。

 来年は、そんなことを心掛けたいと思っています。