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 国際通貨基金(IMF)は1月30日、2024年のロシアの経済成長率を大幅に上方修正しました。プーチン政権による軍事支出が経済成長につながっているとの分析です。これは西側諸国が化石燃料の輸入禁止など、経済制裁を科した効果が上がっていないことを意味し、重苦しいニュースとなりました。

 IMFによれば、24年のロシアの国内総生産(GDP)伸び率の見通しは2.6%と、23年10月の前回予測から2倍以上に引き上げられた。ただ、23年の成長見通しの3%をやや下回る水準です。「インフレ率の鈍化と安定的な成長 ソフトランディングへの道開ける」とIMFの今回の経済見通しは、今年3月に大統領選を控えるプーチン氏にとっては追い風でしょう。

 制裁が効いていない原因は、例えばグローバルサウスの国々が制裁に加わっていないこと、中でもインドはロシア産石油を安くで輸入し、自国で精製してインド産として欧州などに流していることも挙げられています。ロシア経済の国内需要としては軍事産業への国の投資が上昇したことが経済を押し上げています。

 戦争=経済疲弊とは限りません。軍需産業の発展はもとより、雇用が創出され、戦場では高額の給料を受け取る兵士が消費力を高め、労働市場全体も活性化し、所得の上昇、一定の経済的な安定が生まれます。技術の進歩がもたらされ、新しい産業も生まれ、国際競争力も高まります。戦車などの移動で道路インフラが整備され、空港インフラも整備されます。

 今回は制裁によって、新たな市場開拓にも繋がっており、得意の化石燃料は思わぬグローバル展開の道を開けました。同時に安価でエネルギー供給は受けた国々に恩を売ることもできたと言えます。

 欧州連合(EU)では、ロシア制裁に反対し、ロシア寄りの外交を展開するハンガリーのオルバン首相の動向に注目が集まっています。仏マクロン大統領が表明した「アメリカがウクライナ支援を中断してもEUは続ける」というスタンスで、オルバン氏は障害になるからです。

 オルバン首相に対して4年間で500億ユーロ(約8兆円)に上るウクライナ支援の予算案を認めさせるかが焦点ですが、EUはオルバン氏が予算案に反対すればハンガリーの資金停止や拒否権の剥奪を検討する可能性があるとオルバン氏に譲歩を迫っていますが、EUは同氏に譲歩する可能性もあります。

 決められた原則はまじめに死守するドイツ人のフォンデアライエン欧州委員会委員長と、政治の駆け引きで自国の利益を追求するオルバン氏は対照的ですが、そもそも大国に囲まれ、交渉術で生き延びてきた中欧諸国(チェコやオーストリア、スロバキア)にはポピュリズが台頭しています。

 時代は原則外交ではなく交渉外交に大きくシフトしており、交渉力を持つトランプ前大統領の再登板を待望する声も、そのあたりから出てきていると言えます。

 話は元に戻りますが、ロシア制裁が効いていない現実は深刻です。G7に象徴される西側大国に新興国や途上国は従うという時代錯誤があったことは確かです。経済力で世界は動かないという教訓を学ぶべきかもしれません。