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 今、アメリカだけでなく、世界中でドナルド・トランプ前大統領の再選を懸念する論調が、リベラルメディアを中心に高まっています。しかし、ビジネスの世界では剛腕のディールスタイル重視のトランプ再登場への期待も高まっている現状は見逃せません。

 大統領選の予備選でトランプ人気が圧倒的な状況の中、2021年の連邦議事堂襲撃を支持者にけしかけた問題に始まり、税金問題、女性問題など、バイデン米現大統領からの攻撃材料は非常に多くあります。最近ではウクライナ軍事支援に後ろ向きな発言について、バイデン陣営は批判の声を高めています。

 トランプ追い落としのためなら手段を選ばない成功体験の一つは、前回の大統領選で投票に郵送システムを導入し、不正が表面化したのに疑惑は封じられたことです。今はバイデン政権でアメリアに入り込んだ不法移民に順次滞在許可を与えることで、移民票の票固めは確実です。

 アメリカは、海外から見れば、自由と民主主義の砦とか、東西冷戦時代から反共路線など、国際秩序を守る世界の警察官的存在に期待感が高いわけですが、実はアメリカに住む友人たちは40年前から競争に勝つのは好きだが、海外での出来事に興味を示す人は殆どいないと口を揃えて言っていました。

 自由と民主主義のためなら命を懸けるという考えは、アメリカを攻撃する相手に対する戦いに価値観を持たせただけで、一般国民にとっては日々の生活最優先なので、驚くほど世界に無知で自己完結した国です。隣りの週が外国という感覚で、ヨーロッパは遠く、ましでアジアはさらに遠い存在です。

 ウクライナ紛争で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「自由と民主主義を守るための戦い」と紛争を定義づけましが、今の西側諸国が強く共感しているかは怪しい状況です。特に仏独などは、冷戦の時代でもあるまいし、できれば嵐が過ぎ去り、ロシアとの関係も元に戻したい政治家は山ほどいます。

 トランプ氏はディールで問題解決するタイプなので、その価値観は「損得勘定」です。国益にかない、アメリカが人が結果的に得をするのであれば、ならず者国家にミサイルを撃ち込むことも躊躇しません。

 前回のトランプ政権では、そんなトランプ氏に非常に頼れる相棒がいました。それは先進7か国(G7)の古株で国際的信頼の厚い故安倍晋三元首相がいたからです。

 トランプ氏の性格を十分理解した上で、何をすれば国益に繋がり、何をすれば国益を結果的に害するかをトランプ氏に説明し、自由主義陣営をミスリードしないよう、うまく誘導していました。

 その安倍氏がいなくなった今、負けづ嫌いで目先の損得に走りやすいトランプ氏がちゃんとして助言者もいないでやれるか大いに疑問です。

 しかし、ならず者国家でもビジネスを展開するビジネスマンにとって、負けず嫌いでアメリカの国益のためなら何でもしそうなトランプ氏は、原則論、理想論ばかり掲げ、問題解決できないバイデン氏よりは頼もしい存在です。

 欧米の財界人は、日本の財界人と違い、ならず者国家に媚びを売り、八方美人的ではありません。いいか悪いかは別にしても過去には先に力で抑え込んだ上で有利な立ち場を利用してビジネスを展開するのが常でした。今の中国のようなものです。

 国力で圧倒するという意味で、国家指導者はまず、舌戦に勝つのは必須条件です。それはバイデン氏にはなく、ビジネスマンを困惑させています。逆に負けず嫌いのトランプ氏は何でも勝ちたい勝負師で、ビジネスマンには心強い味方です。

 今はならず者国家の数が増え、その追随者であるグローバルサウスが国連で発言権を増しています。しかし、現実には頼りになる警官が必要です。世界のルールを無視する中国やロシア、イラン、北朝鮮を抑えこめるリーダーは不可欠です。

 無論、助言者を持たないトランプ氏は危険です。実際、トランプ政権では多くの側近が離れています。個人的に安倍政権で見せたように日本の存在は日本人が考える以上に重要です。

 ウクライナへのロシア侵攻前、日本がEUを通じて経済支援を表明した際、欧州指導者は「遠く離れたリスクが直結しない日本からの支援に感動した」との声が上がりました。地道に積み上げてきた国際的貢献による国の信頼度は今も高いままです。

 この信頼を活用し、ウクライナ紛争、イスラエル戦争の終結に大きな役割を果たすことを期待したところです。