海外赴任者への企業研修を頼まれ、グローバルマネジメントやリスクマネジメントの研修を行うことがありますが、いつも感じることは、会社自体の戦略や姿勢が乏しいことです。私の印象では、グローバル化に対して、いわば受け身で引きずられるように、しょうがなく対応している場合が多いように感じます。
企業のグローバル化は多くの場合、日本の国内市場の手詰まりが理由になることが多いわけですが、海外進出はリスクが高く、よほど考え抜かれた戦略とリスクマネジメントができなければ成功しません。特にビジネスの海外への拡大は、会社ぐるみの取り組みが必要で、送り込む人材だけの安易な教育をしていても、うまくいきません。
私が研修をしたことのある某英国企業は、若い優秀な社員を3年ベース海外駐在、1年本社、また3年海外駐在を繰り返すことで、グローバル・ビジネスの戦力にしていこうとしています。特に彼らの場合は欧米だけでなく、アジアや中東、アフリカでの経験を重視しています。
日本も、この30年、海外でのビジネスのノウハウを蓄積してきましたが、個より組織を重視する日本では、個の教育は重視されず、「わが社の商売の仕方」を身に付けさせることが重視されてきました。そのため、大企業でも人材育成は、有名研修会社や高名な講師が作る仕出し弁当的な研修でお茶を濁してきた感があります。
企業のグローバル化にとって、最も重要なことは戦略ですが、それは当然、人材教育にも反映されるべきもので、仕出し弁当で済ませるべきものでありません。人材開発に携わる人間は、会社の掲げる戦略と実際にそれに関わる人材のギャップを正確に把握し、それを埋めるための努力をすべきでしょう。
HPT(ヒューマン・パフォーマンス・テクノロジー)という言葉がありますが、権威ある大学の教授などの学習型研修の投資効果が、平均30%というプアーな現実の反省から生み出された考え方です。日本では、それを学習型から、ひたすら役に立つ技術を学ぶことにシフトすることと理解しているようですが、これも間違いです。
グローバル・プレーヤーを育成するための人づくりは、人間そのもののレベルアップを意味しています。単に語学力や、異文化でも、めげずに仕事をこなす人間育成だけでは、パフォーマンスには繋がりません。海外では、個の能力がビジネスのパフォーマンスアップの要です。多くの経営者がそれに気付いていますが、具体的方策は未だ開拓の部分も多いと思います。