trevor_phillipsトレバー・フィリップス平等人権委員会委員長

  米国に史上初の黒人大統領が誕生したことを受け、欧州でも首相や大統領に今後、黒人などの非白人がなる可能性が議論されています。そんな折、英国の平等人権委員会のトレバー・フィリプス委員長が英タイムズ紙のインタビューで、今のところ英国では「不可能だ」と答えています

  フィリプス氏によれば、「英国では、この問題は階級に関係している。文化、生活様式、話し方や素振りに関係している」と、その理由を説明している。これはうなずけます。英国は特にそうですが、ブレア政権で階級制の打破をめざしましたが、階級性は根強く残っています

  実際、白人以外のマイノリティー出身議員を一番多く抱える労働党でさえ、内部での差別がまだ根強いと言われます。下院議員人中、マイノリティー出身者は、たったの15人。これが欧州唯一、多文化主義の看板を掲げる英国の現実で、階級を超えて親しい関係を作るのも、未だに困難を要します。

  フランスでは国民が所有する全資産の4割を5%の人たちが所有していると言われています。大革命があった国が欧州一の貧富の差を誇っています。今から17年前、フランスで初めて誕生した黒人市長にインタビューしたことがありました。彼はアフリカ・トーゴ出身でした。

  前出のフィリップ氏は、南米ガイアナからの移民の子で、父親は郵便集配所員でした。その意味で、例外的な出世で今のポジションに就いた形です。フランスでもサルコジ政権に、アフリカ系の閣僚が数人起用されていますが、彼らの起用は移民対策向けというレベルです

  イタリアのベルルスコーニ首相は、冗談まじりに「今度の米国の大統領は、ちょっと日焼けしているようだ」と過激発言をしています。ベルルスコーニ氏は以前、「イスラム文明はレベルが低い」と発言しています。それもごく自然に口をついて出た感じでした。

  欧州には極右勢力も多く、彼らは非ヨーロッパ人の排撃を政策に掲げています。黒人の首相や大統領誕生の道のりは、欧州では険しいと言えるでしょう。